第287話 ハチミツとミツロウ
分離機、大活躍である。
見事にハチミツとミツロウに分けてくれた。
多少のゴミ? は含まれていたものの、目の細かいこし器でこせば、問題なし。『廃棄』しないで保存していた、少し大きめなジャムの瓶を煮沸消毒して、そこに入れていく。いつか自分でジャム作るときにでも、と、とっておいてよかった。
ログハウスの前のテーブルの上に、ハチミツの入った3本の瓶と、ボールの中に少し残ってしまったハチミツに目を向ける。
このテーブルは、木工の得意な獣人に作ってもらった。がっしりとした大きなテーブルなので、ログハウスには入れられないので、家の前に出しっぱなしで野ざらし状態だ。しかし、大きさのせいもあって、いい作業台と化している。
そしてミツロウの残骸? たぶん、溶かしたら、またゴミみたいなのと分離されるのかな。一旦、大きめのボウルにミツロウをまとめておく。
このミツロウで何を作ろうか。
ハンドクリームとかヘアクリームもいいし、普通に蝋燭を作ってもいいかもしれない。
まずはハンドクリームに挑戦してみるのもいい。確か、ミツロウを湯煎して溶かして、植物油と混ぜて、入れ物にいれて熱を冷ませばいい、とかって何かに書いてあった記憶がある。
植物油となると、ホホバオイルとかがあればいいんだろうけれど、手元にはない。
食用油を使うイメージがないから、うちに今ある油で、と考えたら、オリーブオイルくらいしかない。次にあちらに行く時にでも、買ってきてもいいかも。
蝋燭も、ドライハーブを使って作ってみるのはどうだろう。ラベンダーのドライハーブは、いっぱいあるし。
「うーん、どっちから作ってみようかなぁ」
ボロボロのミツロウを見ながら、悩んでいると。
「五月様!」
元気いっぱいなガズゥの声がした。
トンネル側の門を見ると、ガズゥたちが、何やら背負って手を振っている。
「どうしたの?」
「母さんが、きのこ、持ってけって」
「きのこ!」
「ことしさいごの、ミュランのみだって!」
それぞれがママ軍団から荷物を持たされてやってきたらしい。
気を遣わないでもいいのに、と言っても、村人たちから、なんだかんだと差し入れをいただいている。
「ありがとうね~。きのことミュランの実はテーブルに載せてくれる?」
「はーい!」
元気に返事をする彼らに、ほっこりした気持ちになる。
ミュランの実とは、イチジクみたいな実で、まったりとした甘味のある果物だ。蔓性の植物に生るものらしく、けっこう高いところに生るそうなので、私には一生、見つけられそうもないし、手も届かなそうな実だ。
「五月様、それは?」
「ハチミツだよ。舐めてみる?」
目を輝かせて、コクコク頷くガズゥたちが、可愛すぎる。
小さな小皿にスプーンですくったのを垂らして、3人に渡すと、みんな同じように指先にハチミツをつけて、ペロリと舐めた。
「!?」
「わー!」
「おいしー! あまいー!」
三者三様に驚きを表現している模様。
「さ、五月様、このハチミツって、どこで獲ってきたのです?」
「うん?うちの山の中のハチに分けてもらったのよ」
「わけてもらう?」
「そう。養蜂箱っていう、ハチのおうちを作ってあげたのよ。そしたら、分けてくれてね」
「???」
「一緒に見に行ってみようか」
私はテーブルの上の物をすべて『収納』して、トンネル側にある養蜂箱のところまで、ガズゥたちを連れて行った。





