第255話 馬車組到着
エイデンは飛んでいった翌日には帰ってきた。そして、色んな魔物を山ほど置いて、またどこかに飛んでいった。
見上げるくらいの魔物の山にギョッとする。
なにせ、見たことのないようなのがゴロゴロいるのだ。見るからに岩のような肌の魔物もいれば、木の皮みたいな肌のモノもいる。デカい蛇の顔が見えたときは叫びそうになった。
「凄い」
そう呟いたのはケニー。
彼曰く、魔物に傷跡がまったくないというのだ。そうなの? と魔物の山の周りを見て回ったけれど、確かにただ寝てるだけ、と言われてもそうかも、と思うくらい。血の臭いよりも、魔物の臭い? しかしない。まぁ、正直、臭い。
「ケニー、これ、どうしたらいい?」
ここに移住してくる獣人のために使えるものなら使った方がいい。そもそも、使い道がわからないけど。
ケニー曰く、半数は食べられる魔物ではないらしい。むしろ、防具や武器などの素材になるような物なので、ちゃんと解体した方がいいのだけれど、今いる若者たちでは難しいレベルらしい。
何に使うか判断がつかない私が、勝手に『売却』や『廃棄』してしまうわけにもいかないだろう。
「仕方ないね……解体できそうなのを残して、『収納』しておくわ」
その日は焼肉祭りになったのは言うまでもない。
エイデンが戻ってきて2日目。
何度かエイデンがバカみたいに魔物の山を築いていくので、なんかかなりヤバい状況なんじゃ、と不安になった頃、テオとマルの乗った馬車が到着した。
思っていたよりも少ない人数だったので、まだ後続の馬車があるのかもしれない。その集団の中には、一緒にホワイトウルフたちもいて、途中で合流したのがわかった。ただ、その中にビャクヤたちの姿はなかったので、残りの人を迎えにいったのかもしれない。
出迎えた私は、急いで彼らに食事の用意をしつつ、全体の様子を窺う。大人たちが疲れ果てているのに対し、テオとマルの元気な様子にホッとする。しかし、ガズゥの顔を見つけた途端、ギャン泣きで抱きついていた。ちょっと可愛いと思ってしまった。
「さて、皆さん一息ついたところで、家の方を案内しますね」
彼らが到着した時点で、なんとか20軒のログハウスを建てることが出来ていた。先日の買い出しで、斧などの道具類をまとめ買いしておいたおかげで、最初に来ていた若者たちが伐採に協力してくれたのだ。そのうちの1軒に、彼らも住んでいる。
「こ、こんな立派な家にいいんですか」
馬車でやってきていた集団のリーダーのガイシャさん(テオのお父さん)が、おずおずと聞いてきた。
「ええ。そのために作ったんですから」
「……ありがとうございますっ」
ガイシャさんが目を潤ませながら頭を下げると、他の獣人たちも同じように頭を下げられて、私の方が慌てる始末。
「と、とりあえず、家にどうぞ。中は全部同じなので、どの家を選んでも変わらないはずです。あ、生活用品の類は……当然、お持ちじゃないですよね。じゃあ」
私は『収納』から大きめなブルーシートを取り出し、広げると、この前買った、毛布や食器類などの日用品を載せた。
「家を決められたら、こちらから必要な物を持って行ってください。ちょっと数は足りないかもしれませんけど」
「とんでもない! ちゃんと買わせていただきます!」
「いやいやいや、いいですって」
皆が慌ててお金を探し出そうとしているので、止める私。正直、滅多にこっちのお金は使わない。
「それよりも、お願いしたいことがあるんです。まずは、一度、ゆっくりしてください。詳しい話はそれから、ということで」
――せっかくなのだ。まずは魔物の処理をお願いしようかね。
ニコニコ笑いながら、家の方へ手を向けた私なのであった。





