第247話 新しい訪問者と怒れるエイデン
私はお馬鹿だ。
一気に『整地』したら、ログハウスの建築の目安にしてた印も、一気に消えてしまったではないかっ!
「まぁ、いいか」
獣人たちがやってきていないわけだし、のんびりやっていこう。
そう割り切った私が、今日はもう終わりにしようと思った時、石壁のない状態の大きな門の先に土煙があがっているのが見えた。
「え、もう、戻ってきた?」
『いえ、あれは獣人たちではありません』
「うわ、いつの間に来たの、ビャクヤ」
背後にビャクヤがお座りしている。ふさふさの尻尾がゆっくり揺れている。なんだか、ちょっとイライラしてる?
『馬車だね』
のそりとビャクヤの後ろからハクもやってきた。こっちもなんだか機嫌が悪そう?
そして、よく見るとホワイトウルフたちも、チラホラ姿をあらわしている。
「あれ、悪い人たちかしら」
なんとなくみんなの機嫌の悪さから、そう考えてしまう。
ここはビャクヤに判断を任せるに限る。
『護衛も3人ほど連れているようですね……馬車自体は高級なものではなさそうです』
『五月はまだ近づかない方がいい。やつら、風下にいるせいで匂いがわかんない』
そう言って守るように、私の前へと立ちふさがるのはハク。すっかり身体がデカくなって、私の頭しか、向こうには見えないかもしれない。
そうこうしているうちに、馬車が門の前で止まった。ビャクヤの言うように、見るからに貴族が乗るようなモノではなく、幌馬車という感じ。そこから下りてきたのは、すらっとした背丈の老人と、20代半ばくらいの若者だ。
こんな場所に来るのなんて、キャサリン関係者か、ガズゥ関係者。あとは稲荷さん経由でお願いしていた……
「もしかして、商人さんかしら」
2人が門の脇から入ろうとしているのを、護衛の男性が守るように立ちふさがる。
老人はそれが気に食わないのか、ムッとした顔になるものの、若者に宥められている。若者は苦笑いしたかと思ったら、私たちの方へと顔を向けた。
「あの~、こちらに、サツキ様という方はいらっしゃいますか?」
のんきな感じの声に、肩から力が抜ける。
やっぱり、ちょっと私も緊張してたようだ。
「はい。私がサツキですけど、どちらさまです?」
「おお! わしらは」
老人の声は最後まで聞くことが出来なかった。なぜならば。
ドゴンッ
『人族の姿に偽装して現れるとは、小賢しいッ! エルフの小童どもが、何しに来たっ!』
どっかの石壁らしき物が落ちた音と共に、エイデンの怒鳴り声が荒地に響いたから。
エイデンの言葉に引っかかりながらも、空でバッサバッサと翼を羽ばたかせるエイデンにくぎ付けになる。あののんきな感じは、どこへ行った!? 大きな身体が、いつもの倍くらい大きく見える。
「エ、エンシェントドラゴン……」
ドラゴンの姿のエイデンに驚いたのか、老人の震える声が聞こえて、視線を戻すと、そこにはさきほどの老人の姿はなく、某映画で見たことがあるような、とんでもない美形たちが、腰を抜かして倒れてた。





