第233話 おかえり!
ホワイトウルフたちが見つめた先には、小さな土埃があがっていて、それが徐々に近づいてくるようだ。
その先頭にいるのは、真っ白で大柄なホワイトウルフ。
かなりのスピードで向かってきているのは、私でもわかる。
「うん? ビャクヤ?」
『五月様~っ!』
テンション高めな声に、ビャクヤではなく、スノーだとわかったので、大きく手を振る。
「おかえり~、って、あれ?」
スノーの後ろから、追いかけてくる人影がいくつか見える。
一つは小さめ、残りの人影はかなり大柄に見える。スノーのスピードについてきているあたり、普通の人間じゃない。もしかして獣人?
一瞬不安がよぎるも、スノーが気にしていないのなら、大丈夫なんだろう。他のホワイトウルフたちも、尻尾を振りまくってるくらいだし。
ジーッと見ていると、姿が徐々に大きくなってくる。
「さつきさまぁ~!」
「ガズゥ!?」
すでに懐かしいとすら感じるその声に、思わず叫んだ。
「え、どうしたの!? 家に戻れなかった? え、後ろの人たちって……」
ガズゥが走ってきたかと思ったら、思い切り抱きついてきた。
「ぐえっ!?」
子供とはいえ、獣人のガズゥ。思わず、うめき声があげて、数歩後ろに下がる羽目に。
「さつきさま、さつきさまっ!」
ギューッと抱きしめながら、ぐりぐりとお腹の辺りで頭をこすりつけてくるガズゥ。
「が、がず……ぅ、く、くるし……」
「はっ!? ご、ごめんなさいっ!」
ガズゥが慌てて離れたので、私の方もなんとか息ができるようになった。
「はぁ、はぁ、はぁ、で、どうしたのよ?」
「お、俺っ、ここで五月様をお護りするっ!」
「は?」
息も切らさずに、ニカッと笑ったガズゥに、私はあっけにとられる。
格好は、この前渡したTシャツにジーパンだ。あ、裾が少し短くなってる? 私のお手製リュックも背負ってる。ちゃんと村まで戻っていないの?
「え、でも、おうちには?」
「うん、帰った」
「そう。お父さんたちとは会えたのね?」
「うんっ! それでねっ、それでねっ!」
「そこから先は私から話させていただけませんか」
「えっ?」
いつの間にか、目の前にとても大柄な……見るからにガズゥとの血が繋がっているのがわかる大人の男性の獣人が立っていた。
年齢にしたら、私と同じくらいか、少し上くらいだろうか。厳つい顔立ちのせいか、ちょっと威圧感。
見上げるような身長は、エイデンにも引けを取らない。大きめな獣の耳と、白銀の髪は一つに縛られ、腰くらいまである。大きな尻尾はゆっくりと左右に揺れている。
その大柄な男性が、いきなり目の前で跪いて、頭を下げた。
「はじめてお目にかかります。ガズゥの父、ネドリと申します」
おっと。これまた渋い声。イケボとも言えるか。
「え、あ、はい。あの、望月五月と申します。あの、どうか、その立ってください」
「はい、では失礼して……」
うん、デカい。
いつかガズゥもこんな風になるんだろうか。今は、可愛いけど。いや、もしかして母親似なのか?
ネドリさんの後ろには、彼より少し小柄でもう少し若い男女の獣人が立っていた。
この前ガズゥたちを迎えに来た叔父さんに似た黒毛の犬っぽい獣人。なんか目をキラキラさせながら見られてるんだけど……なぜに?





