表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
山でやること、まだまだあった

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

246/982

第230話 立ち枯れの周辺の再開発(1)

「それにしても、ここもようやく雑草が生えてきたねぇ」


 瘴気のせいで禿げ上がっていた地面が、植えた果樹によって浄化されたのが雑草の生え方で目に見えてわかる。まだ、中央の湧き水の流れ周辺にまではいかないものの、徐々に生えていっているのがわかる。

 子供たちがいたときには忙しさで目が向かなかったけれど、こうして落ち着いて目を向けてみれば、ここもまだまだ中途半端な状態だったのに気付かされる。


「排水用の溝、塀の中までしか作りこめてなかったもんなぁ」


 ガズゥたちが狩りに行っている間、キャサリンとサリーの2人が泥遊びの延長のように、溝を掘ってくれていたのを思い出す。

 今にして思えば、貴族のご令嬢に何させてるの、と言われそうである。

 中でもキャサリンに至っては、土の魔法の練習も兼ねて、と、溝の側面を強化して崩れないようにしてくれていたのには驚いた。

 なんと、土を掘っている時に水の流れで崩れていくのを見て、『アースウォール』を作るための加減をコントロールするために、土の強度を高める練習方法を教わっていたのを思い出したのだとか。

 おかげで、塀の中の部分の水路だけは、しっかりと固められている。

 ありがたや~。


「あ。もしかして、土の精霊さんにお願いしたら、これと同じことってできたりする?」


 思わず、私の周りを飛び回っている精霊に声をかけてみると。


『なになに、このみぞのこと?』

「そう。こう、同じ幅でこんな風に固くすることってできるのかなって」

『できるできる』

『よゆうよゆう!』


 そう答えたかと思ったら、ズズズズズズッという音とともに溝が真っすぐに伸びていく。


「おおお、す、凄いっ」

『さつき~、どこまでのばす~?』

「え、どれくらい伸ばせるの?」

『どこまででも~』


 そう言っている間にも、溝は伸びていき、ついには果樹でできた結界の際のところまで行きついてしまう。


「あ、あ、いったん、ストップ!」

『すとっぷ?』

「と、止まって!」

『はーい!』


 ……うん、見事にまっすぐな排水溝……いや水路というべきか……ができたね。

 ていうか、今まで自力でやってたのは、なんだったの、と果樹園やドッグランの排水の流れのことを思い出し、ちょっとだけ悔しくなる。


『ねぇねぇ、あれ、またみずがあふれてるけど、どうする?』

「あー」


 水路を作る前も、溢れたように滲みながら、そのまま地面に浸み込んでいっていた。だったら、今回もそのままでもいいかな、とも思ったけれど、どうせだったら大きな池にでもしてもいいかもしれない。


「あそこに、大きな穴って作れる?」

『どれくらいのおおきさ?』

「そうねぇ。うーん、ドッグランくらい?」


 けっこう広いけど、せっかくなら大きい池にしてもいいんじゃないかと。ちょっと気軽に言ってしまったら。


『できるできる~』

『かんたんかんたん~』


 ドゴンッッ


 もの凄い音とともに、土煙が舞った。


 ……うん、精霊たち、加減しないよねぇ。


 苦笑いしながら、ゆっくりと穴の方に近づいていくと、隣の山のほうから黒い影が2つ飛んできた。


「ど、どうしたっ!」

『なにごとー!?』


 焦ったような顔のエイデンと、ワタワタしたノワールが現れたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ