表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
山でやること、まだまだあった

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

242/973

第226話 異世界のハチはデカかった

 稲荷さんにお願いして1週間。

 さすがにすぐには連絡は来ないし、当然、人も来ない。

 なんでも稲荷さんのお宅ってば、ガズゥたちと同じ国にあったらしい。といっても、ガズゥたちの村とは真逆、なんちゃら帝国(覚えられんがな)の方に近いんだとか。

 まだスノーが戻ってきていないことを考えても、相当、遠いのは私でも予想がつく。こればかりは気長に待つしかない……けど、冬になる前には来てほしいものだ。


 その間、私は山の草刈り三昧だ。

 ちょっと草刈りしても、すぐに伸びてくるのは自然の力の強さってもんなんだろうけど。おかげでKPも地味に増加中。いや、精霊たちのおかげで、すでにアプリ1個分は貯まってる。急ぎで使う予定はないので、このまま保留中。


 そんな中、大きなハチの巣を見つけた。ラグビーボールの倍くらい?

 背の高い木の枝に下がっている様子と、私でも目視できる、かなり大きなサイズのハチの姿に、クマンバチとか、スズメバチみたいなのだったらどうしよう!? と思ったら、普通にハチミツを集めるハチだった。『鑑定』感謝。

 あれだけの大きさであれば、たっぷりハチミツを貯めこんでいそう。


 ――ハチミツ分けてもらえないかなぁ。


 なんて思ったけれど、さすがに、虫よけの防護服みたいなのは持っていないし、下手に触れたら、壊しそうだし、追っかけられたら嫌だし、で断念することにした。


「うーん、残念」

『なにが、ざんねん?』


 いつのまにか肩に座っている風の精霊。それも2人も。なんか、かわいい。


「ハチミツをね、分けてもらいたかったけど、あんなに高い所だし、ハチの巣を壊しちゃいそうだなぁってね」

『なんだ、だったら、ほしいっていえばいいのに』

「へ?」

『さつきにだったら、あのこたちもわけてくれるよ?』

「は?」


 私は、虫とも会話ができるのか!?


『おーいっ』


 風の精霊が声をあげると、飛び回っていたハチの動きが止まる。え、やだ、恐い。


『おーい、だれかー』


 もう1人の精霊の呼び声に、ハチの巣の中から1匹、他のとは一回り大きなのが出てきた。もしかして、あれは女王バチか!?


『あのね、さつきがハチミツがほしいんだって』

『わけてあげてよ』

「いやいやいや、今すぐには無理でしょ!?」


 私だって、ハチミツを入れるような器はないし!


『うん、うん、なるほどね』

『えー、なにそれー』

『まぁ、きみたちもたいへんだよねー』


 私を放置して、彼らの間で話がすすむ。

 よかった。私、虫とは会話できない模様。そこまでいったら、人間やめてる気がするもんね。


『そっかー、じゃあ、きいてみるよ……あのね、さつき』

「何?」

『なんかー、さいきん、でっかいゴモクハチっていうのが、このやましゅうへんにはいりこんできたんだってー』

「ゴモクハチ?」

『そー。そいつらが、はなのみつをとりにいくはたらきばちをたべちゃうんだってー』


 げ。肉食のハチかい。


『このやまのなかににげこめば、あいつらははいってこないらしいんだー。でも、おおくのはなは、やまのそとにあるからー、おそわれるのをかくごで、やまからはなれてるんだってー』

「なるほど。確かに、今は花の咲いてるのって、立ち枯れの拠点にあるハーブくらいだもんね。ログハウス近くのバラも、もう散っちゃってるし」

『そうそう、はるさきははながいっぱいあったんだけど、いまのじきはねー』


 緑の美しい山ではあるんだけど、ミツバチたちにとっては、それでは足りないということね。


『だからー、おはなをたくさんうえてくれたらー、はちみつをわけてもいいってー』

「え、本当!?」


 目の前の女王バチ、くるくると回ってる。それは、イエスということか?


「じゃあ、ついでに養蜂箱用意するわ。そうすれば、今あるせっかく作ったハチの巣を壊さなくてもいいしね」


 私の頭の中には、朝やってた某テレビ番組の養蜂箱が頭に浮かんでいる。

 四角い枠をいくつも重ねてあるやつで、ハチの巣が育ってきたらどんどん重ねていき、上のものから切り離していくタイプ。あれ、ちょっとやってみたかったんだ。


「それに、お花畑ね。これからの季節に、何がいいかわからないけど……後で調べてみるわ」


 女王バチがぐるんぐるん回りだしたせいなのか、他のハチたちまで、私の周りをブンブンと飛びまくってる。

 まさか、女王バチは、私の言葉がわかるの? 異世界のハチ、すげぇ。

 でも、ちょっとデカい分、かなり怖いかな。うん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ