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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
山でやること、まだまだあった

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第225話 稲荷さんに相談、奥さんとの馴れ初め(2)

 なんとも物騒な話だけれど、魔物が現れた! なんていうニュースは聞いたことがない。いつ頃の話なのか、聞いてみたら、200年以上前なのだとか。


 江戸時代かいっ! 


 ……というか、稲荷さんって、今、いくつ?

 神様だから、年齢って関係ないの……か?


「200年前もここってキャンプ場だったんですか?」

「いやいやいや、そんなこと、あるわけないでしょうが」


 ……ですよねー。

 なんでも、この山、かなり古くから稲荷さんの本尊が祀られている神社があったんだとか(ちなみに、今もあるらしいが、山奥過ぎて参拝者は年に10人にも満たないのだとか。いいのか、それで)。

 その山奥に、異世界と通じる道が出来てしまって、まず最初に現れたのが奥さん。

 なんでも、魔物に襲われて逃げているところに、こちら側に紛れこんでしまったそうだ。そこを颯爽と助けたのが稲荷さん。魔物から助けられた上に、狐の姿から人の姿に変わった稲荷さんに、奥さんの方が一目ぼれしたんだとか。

 ……今は、普通のおじさんにしか見えないけど。


「いやぁ、参りましたよ。結婚してくれるまで帰らない、とか言われましてねぇ」


 サラリとのろけられて、ちょっとイラッ。


「でも、彼女がこちらに居座られると、こっちの世界のパワーバランスが崩れるので、早々にお帰り頂かないといけなかったんですわ」


 そこに現れたのが、イグノス様。

 強引に自分の世界に戻してもいいけれど、エルフという種族属性とでもいうのか、魔力が多かったこともあって、こっちへの執着であちらとの境界が浸食され始めてしまったのだそうだ。

 こわいよ、奥さんっ!

 稲荷さん的には、一応、こっちの世界の神様なわけで、イグノス様の世界に居続けるわけにもいかない、という話をしても、納得しない奥さんについには稲荷さんも絆されて、夜だけあちらに居るようになったのだとか。 

 この辺をキャンプ場にしたのも稲荷さんではなく、稲荷さんの信者さんだったらしい。それだけ古くからこの土地に住んでいた人ってことだろう。

 稲荷さんが面白半分に通うようになったら、その持ち主に気に入られ、亡くなった時に相続させられたのだとか。

 稲荷さん、戸籍あったの!? って普通に思ったんだけど、なんか神様なりに、上手い事やったらしい。

 神様、ずりぃ。

 ……いや、私も、色々やってもらってるんだから、そうも言ってられないのか。


「とりあえず、奥さんに連絡はとってみますよ」

「お願いします」


 少しだけホッとした私は、いつの間にか目の前に置かれていた麦茶を口にする。

 今日はあとはホームセンターやスーパーへ買い出しに行かなきゃね。


「あ、そうそう!」

「はい?」

「毎月のお給料ですけど」

「はい」

「30万に変わりましたので」

「へ?」

「ほら、望月様の敷地が増えたじゃないですか、なので、その分増量だそうです」

「えーーーーっ!?」


 予想していなかった私は、思わず声をあげてしまったのであった。

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