第224話 稲荷さんに相談、奥さんとの馴れ初め(1)
キャンプ場の管理小屋で、ソフトクリームを食べながら、稲荷さんを待つことしばし。
管理小屋の裏手に、ジュースやソフトクリームを売っている売店があったのは知っていたものの、今まで買うことはなかったので、今回がお初である。
あっちではソフトクリームは食べられないから、贅沢な気分だ。
そして管理小屋の中は、時期的なこともあってキャンプ場の利用者が多いようで、人がひっきりなしに出入りしている。
「いやぁ、お待たせしました!」
ポリポリとソフトクリームのコーンを食べているところに、やっと稲荷さんが現れた。
「忙しいのに、すみませんね」
「いえいえ、バイトの子たちがいるんで大丈夫ですよ」
カウンターにいるのは、去年いた子とはまた違う子だ。中には女の子もいる。
「あの子たちは近くの高校や大学のキャンプサークルの子たちなんですよ」
「へぇ~」
私の学生時代には、山岳部なんてのはあったけど、今はキャンプサークルなんてのもあるのか。
「さてさて、まずは土地の話をしてしまいましょうか」
イグノス様からのお話は、こっちとしてはありがたい話ではあった。
自分が手をいれた土地は、そのまま私の土地扱いをして構わないと。これから先も? と思ったら、それもOK。太っ腹!
今後、購入する場合は、あちらのお金でもいいのだとか。そうすれば、日本側での面倒な手続きなどをやらないで済むんだそうだ。諸々を稲荷さんにお任せしているだけに、お手数おかけしてすみません、って感じだけど。
「それと、職人とか商人とかの伝手ですか……」
うーんと、顎を撫でながら、考え込む稲荷さん。
「残念ながら、私個人ではあちらに知り合いはいないんですよ」
日本側であれば、普通に仕事関係で知り合いがいくらでもいるんだそうだ。でも、あちらでは、まったく現地人に知り合いはいないらしい。
稲荷さんの立ち位置がよくわからない。
「うちの奥さんにでも聞いてみましょうか」
「あー、ガズゥたちの服を用意してくださった?」
「そうそう」
稲荷さんの奥さんはあちらの世界の方で、当然、あちらに住んでいる。
「えーと、馴れ初めをお聞きしても?」
「うん? いやぁ、たまたま、彼女がうちのキャンプ場に迷い込んじゃってねぇ」
「は?」
稲荷さんの奥さん、なんと、エルフ族らしい。
やだ、ファンタジー。すでに稲荷さんの存在自体がファンタジーだけど、目の前にいるのは、ただのおじさんだし。
なんでも、うちの山とは別の場所、それもこのキャンプ場の敷地内に、あのトンネルと同じような抜け道が出来てしまったことがあったそうだ。
その時に奥さんが入り込んでしまったのだとか。
「え? 今使っているトンネルは、向こうからは通れないことになってますよね?」
「うん、あの時できちゃったのは、突発的なモノだったらしくてね。なんでもかんでも通しちゃうものだったんだよ。おかげで、彼女の他にも、魔物とかが入り込んで大変だったんだよ」
……あっさり言ってるけど、日本に魔物って、ヤバすぎないかっ!?





