第223話 KPを貯める、水浴びの話
私は、蒸し暑い中、草刈り機を振り回している。
今日はログハウスのある方の山ではなく、フタコブラクダの頭側の山。一応、裾野の方から徐々に上に向かうように進んでいる。まったく手が入っていなかったので、刈るべき草の多いこと。伐採しておきたい木も多いんだけど、今はKPを貯めるために、『ヒロゲルクン』は自重している。
今までは、ビャクヤたちやエイデンからの魔物の貢物は一部を『売却』してきたけれど、こっちのお金もそこそこ貯まってきたので、『廃棄』してKPへと変えるようにしはじめた。ちょっと『廃棄』というワードに引っかかりを覚えるものの、背に腹は代えられない。今度は一気に、『翻訳アプリ』と『収納』のバージョンアップをしてしまいたいのだ。
手斧で伐採できるサイズの木は、自力で伐採。それよりも太い木は、ハクとユキが魔法の練習も兼ねてなのか、ドンドン切ってる。
ちびっ子はシロタエとともにドッグラン。最近はビャクヤ一家はドッグランの厩舎に居ついているらしい。山頂の巣穴周辺は直射日光のせいもあって、けっこう暑いらしい。標高がそこそこあるはずなんだけど、夏場は厳しいようだ。ドッグランは水場が近いのと周囲が木々に囲まれているせいか、過ごしやすいんだろう。
「さてと、ここでいったん休憩~!」
『もう、いいの?』
『俺たちなら、まだいけるぞ?』
「二人が力が有り余ってるのはわかるけど、私の方が体力持たないのよ」
小さなビニールシートを『収納』から取り出すと、草のなくなった斜面に敷いて腰を下ろす。
手にした水筒は、ガズゥたちにあげたのと同じタイプ。中身はスポーツドリンク。粉末のを大量買いしておいてよかった。
「はー、生き返るわ~」
そういえば、あの子たちは無事に村に着いたのだろうか。スノーが護衛でついていったらしいけれど、まだ彼も戻ってきていない。かなり遠いってことなんだろう。
ハクとユキは、長い舌をだらしなく垂らしながら、地面に横たわっている。せっかくの白い毛が土塗れ、草塗れになっているのに、彼らは気にならないらしい。
小さい頃は、ログハウスの人工池に飛び込んで遊んでいた記憶はあるものの、ここまで大きくなってからは、そんな姿は見たことがない。
「あなたたち、水浴びとかしないの?」
『しない』
『遠くに行った時に、池とかがあったらかなぁ』
「そうか」
だったら、ドッグランの傍に水浴びできる場所とかも、作ってもいいかも?
どうせなら、こっちの業者みたいな人に頼むとかできたらいいんだろうけど、さすがに、ここまで出向いてもらうのは、あんまり現実的ではないような。
そもそも、現地人での知り合いなんて、キャサリンやガズゥの身内しかいないし、そもそも、遠すぎる。『地図アプリ』を見てみても、最寄りの街は、あの門を壊しちゃったところ。もう、あの門は直されただろうか。
「稲荷さんの伝手とか、こっちでは使えないのかなぁ」
土地の話のついでに、その辺の相談もしに、明日にでもあちらに行ってみるか。
「よーし、もうひと踏ん張りするぞー」
『行くぞー』
『いぇーい!』
2匹とも元気だなぁ、と思いながら、立ち上がるのだった。





