表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
子供たちとの別れの夏

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

223/979

第210話 ガズゥたちのお迎えがやってきた

 クルミ、じゃなくてボルダの実を手に入れて3日ほど経った。

 さっそく黒いポットに植えてみたら、翌日には芽が出て、今は10cmくらいの高さにまで成長している。土の精霊のやる気が伺える。

 もう少し育ったら、立ち枯れの拠点側の斜面にでも植えようかと思っている。そこだったら、ガーデンフェンスや植えた果樹による結界の中だし、奥まった場所だけに誰も気付かないと思う。

 ちなみに、ガズゥの言葉が気になったので、クルミ餅を作る前にタブレットで『鑑定』してみた。こちらでは元来、滋養強壮に効く物らしく、合わせる薬草によっては、その能力を著しく伸ばす効果があるそうだ。それも、エイデンが採ってきたのは、かなり魔力のこもったものらしく、魔力の少ない獣人たちの場合、1個でも食べたら体調を崩してしまうらしい。

 鑑定前に、ついつい3個食べてしまった私。だって、エイデンがポンポン渡してくるんだもの。しかし、結果的には、まったく異常なし。エイデンなんて10個以上食べていたのに、平気だったのだ。

 何が違うのかはわからないけれど、ガズゥたちに食べさせてやれないのは、ちょっと残念だった。今度、クルミでも買ってきてあげようかな、なんて思っていたんだけど、そうもいかなくなってしまった。

 ガズゥたちのお迎えがやってきたのだ。


「五月様っ!」


 立ち枯れの拠点の長屋で、大きめなざるの上に乾燥させていたラベンダーの花をポロポロと外している時だった。ガズゥの嬉しそうな声が聞こえて、目を向けると、ガズゥが走ってくる姿が見えた。


「迎えがっ、迎えが来ました!」


 よっぽど嬉しかったんだろう。目がキラキラしている。


「思ったより早かったね!」

「はいっ!」


 根拠もなく、あと1週間くらいかかるのかなぁ、と漠然と思っていた。

 私はラベンダーをそのままに、ガズゥと一緒に歩いていくと、結界ギリギリのところに3人の大柄な獣人が立っているのが見えてきた。2人は男性で、1人は女性のようだ。近くに馬車のようなものも見当たらず、取るものも取り敢えず駆けつけた、といった感じなのか、かなり身軽な格好だ。

 見る限り、3人ともガズゥのような銀髪ではなく、テオとマルのような黒髪に黒耳の犬系の獣人のようだ。男性はエイデンと比べれば小さいかもしれないが、十分に大きい。女性の方も、男性に劣らないくらいの背がある。すらりとした体型がモデルっぽくて、ちょっとカッコいい。


「コントル叔父さん、五月様をお連れしましたっ!」


 おうおう、ガズゥってば嬉しそう。叔父さんと思われる男性は、駆け寄るガズゥを抱きしめている。テオとマルは、女性の方にへばりついている。


「貴女が五月様ですね。甥たちが大変お世話になったと聞いております」


 3人の中でも一番大柄な男性が、胸に手を当てながら頭を下げてきた。


「いえいえ! 私だけではなく、ホワイトウルフたちのおかげでもありますから」

「はい、そう聞いておりますが……まさかあのホワイトウルフたちが、と半信半疑でして」


 不思議そうな顔で周囲を見ている。私も同じように見回すけれど、今はホワイトウルフたちは近くにはいないようだ。


「皆さん、お疲れでしょう。よろしければ、あちらの東屋でお茶でもいかがですか」


 私はガズゥの叔父さんたちをお茶に誘うことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ