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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
山での生活環境を整えてみた

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第19話 タブレットが届いた

 夏休みを終えてすぐ、会社に退職することを伝えた。一応、辞める一か月以上前に言ったのだから、文句は言われまい、と思ったけれど、そう簡単な話ではなかった。

 相変わらず、先輩は出社拒否だし、トラブルメーカーの後輩も健在。今までそれをフォローしてきたのが私だけだったから、上司も辞められたら困るのだろう。

 しかし! それで一度倒れているわけだし、これ以上は無理です、と言って、なんとか辞める方向に持って行けた。


 同時に、LI〇Eで元カレをブロックした。いい加減、私へ送ってくるメッセージがウザすぎた。ここまで付き合ってやった私、偉いと思う。

 そして家族からの電話も着信拒否にした。義妹の夏休みの間、こっちの都合も考えずに何度もかかってきて、本当にうんざりしたのだ。 

 そうやって、こちらでの繋がりを整理しているうちに、お稲荷様のキャンプ場から荷物が届いた。


「……タブレットだ」


 それと同時に2種類の書類。契約書と請求書だ。

 契約書については、あちらの世界への移住することを認めること、それに管理費用について書かれている。月に23万円。ほぼ今の会社の給与並み(神様だけに、わかっちゃうのだろうか?)。これで生活はトントン。むしろ、山の管理だけでこんなにもらってもいいんだろうか? と、逆に不安になりながらも、振込口座を記入して、名前を書いて印鑑を押す。

 請求書には、やっぱりお稲荷様が言っていた『90万円』と書かれていた。ちゃんと振込口座が書かれているし、口座名義がキャンプ場になってる。


 ――お稲荷様、神様なのに、普通に人の中に紛れて生活してるのね。


 ちょっとだけ、遠い目になった。

 そして、最後のオオトリ。タブレットに手を伸ばす。どう見ても、普通に電気屋でも売ってそうなタブレットにしか見えないけれど、背面のデザインが……狐のキャラクターがデザインされていた。

 ……とりあえず、見なかったことにして、充電用のアダプターを探したが見当たらない。そもそも充電の口もない。これ、どうやって充電するんだ? 


 ――異世界にいけば、勝手に充電されたりするのかなぁ。


 なんだか、どんどん自分が非常識になりつつあるな、なんて思ってしまう。


「まあ、まずは電源入れるだけ入れてみよう」


 タブレットの脇のボタンを押すと、すぐにたちあがり、この前見たのと同じ2つのアイコンが並んで表示されていた。そして、なぜか画面上のバーにメールのようなアイコンが点滅している。


「あれ? ネットは使えないんじゃなかったっけ?」

 

 アイコンをタップすると、メールアプリみたいなのが起動した。1通だけ届いているのを開く。


「なに、『収納アプリ』を利用できます?」


 説明を読むと、なんかポイントが貯まっているので、それを利用して、その『収納アプリ』とかいうのがダウンロードできるらしい。


「え、便利じゃん。じゃあ、ダウンロード……って、繋がってないしっ!」


 エラーメッセージが返ってきた。やっぱり、異世界じゃないと使えないってことか。


「むぅ、仕方ないなぁ」


 内心、引っ越し作業に使えるんじゃないか、と思ったが、甘かった。むしろ断捨離して、身軽な状態で行った方がいいのかもしれない。

 荷物でいっぱいの自分の部屋を見渡して、うんざりした気分になった。

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