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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
子供たちとの別れの夏

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第203話 初めての異世界の街……なんだけど

 遠くに石壁に守られた街らしきモノが見えていた。

 私は歩いていくつもりでいたんだけど、スノーが自分の背中に乗れ、と言ってきたので素直に乗ることにした。

 だって、エイデンの歩幅に合わせてたら、私だと小走りになっちゃうんだもの。こちとら、日本女性の平均身長並みなのに、エイデンは1m90cm? いや下手すれば2mありそうな気がする。あくまで、私の目算だけど。

 ちなみにノワールも来たがったけど、さすがにチビともいえない大きさになったドラゴンは無理だ、とガズゥたちに言われて、拗ねた状態のままで置いてきた。一応、ビャクヤたちが宥めてくれているはずだ。特に、ビャクヤのところのちびっ子3匹が相手になってくれているだろう。


 スノーのスピードは、たぶん馬でいう並み足くらいだろうか。その隣をエイデンがすたすたと歩いている。そう、歩いているのだ!

 どうなってるんだろう、と不思議に思っているうちに、街の入口に着いてしまった。


「だ、誰もいない?」


 まだお昼くらいだっていうのに、見上げるような大きな門のところの木でできた扉がしっかりと閉じられているのだ。

 普通、こういう出入り口って昼間は開いてたりしない?


「ふむ、おかしいな」

『中に人がいる気配はあるぞ』


 イメージとしては、衛兵みたいなのが両サイドにいそうなんだけど。


「まさか、お昼休み?」


 もしかしたら扉をノックしたら誰か反応してくれないかしら、と思って、スノーから下りて扉をドンドンッと音を立ててみる。


 ……反応がない。


 まいったなぁ、と思っていると、今度はエイデンが……ドゴンッとぶち破ってしまった。


「えっ」

「て、敵襲っ!」

「ぎゃぁぁぁっ!」

「ま、魔物よぉぉぉっ!」


 なんかいきなり大騒ぎになってるんですけどっ!

 ていうか、魔物って、スノーのこと!?


「エ、エイデン、どうしよう!?」

「まったく、騒がしいことだな」


 不機嫌そうにそう言うと、エイデンが右手をサッと振り上げて何かを呟いた。すると、ギャースカ騒いでいたはずの人々が、急に大人しくなった。何が起こった?


「さぁ、中へ行くぞ」

「え、いや、あの、この門は?」

「そのうち、こいつらが直すだろ」

「いやいやいや、壊したの、エイデンだよね。ていうか、これ、どういう状況よ!?」


 駆けつけようとしてた兵士っぽい人とか、逃げまどってた人達が、ぼーっとした状態で立ち尽くしているのだ。


「うん? 魔法で落ち着かせただけだが」


 いや、これ、落ち着かせたっていうレベルじゃないよね? むしろ、意識を奪ってるみたいな、なんというか……ゾンビみたい?


「なんか、怖すぎるんだけど……ていうか、なんですぐに兵士がこんなに出てくるの」


 街道に人の姿もなかったし、この辺で何か起きてたんだろうか。ちょっと不安な気分になっている私をよそに、エイデンとスノーが先に進んでいく。


「ま、待って!」

「五月、何を買うのだ?」

「え、魔道コンロだけど……このままでいいの?」

「うん? ああ、もう少ししたら、きれるだろうから、ほっとけばいい」

「いや、でもさ」

「お、あそこに魔道具屋があるな」


 暢気にそう言うと、さっさと行ってしまうエイデン。

 いいのか? このままで? 後ろを振り向くと、変わらずぼーっとしたままの人々。


「だ、大丈夫なのかなぁ」


 不安になりながらも、エイデンを追いかける私なのであった。

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