第200話 新アプリ、キターーーー!
燻製な日々を過ごして3日目。
身体に薫香がまとわりついている気がする。ぶっちゃけ、煙臭い。ちゃんとお風呂に入っているのに。本気で、燻製小屋みたいなのを作って、一気にやっつけてしまおうか、と思うくらいに……飽きてきた。
アルファ米に至っては、風の精霊のおかげで、あっという間に出来てしまい、テオががっかりしてた。こっちに米ってあるのかわからないけれど、見つけたら自分でやってみたら、と言ったら、かなりやる気になっていた。頑張れ。
そんな私は、燻製待ちしながら、タブレットで『タテルクン』のメニューで『燻製小屋』がないかをチェックしている。残念ながら『燻製小屋』は見当たらなくて、ドア付きの小屋を作るとかで代用するべきか? と悩んでいた。
すると突然、画面上のバーにメールのようなアイコンが点滅しだした。
「え、もしかして!?」
私はワクワクしながらアイコンをタップする。
「キターーーー!」
目の前の画面に表示されたメッセージ。
・『地図アプリ』のダウンロード
・『翻訳アプリ』のダウンロード
・『収納』のバージョンアップ
やっと、本当にやっと、だ! 思わず、うふふとにやけてくる。
中でも散々待ってた『収納』のバージョンアップ! これでMAXのはずで、収納上限はなくなるし、時間経過も考えなくていい。そうなったら、生物とかを保存するのに苦労しないで済む! 冷蔵庫のように冷やして保存ってわけにはいかないかもだけど、消費期限を考えないで済むのはありがたい。
それに『地図』も『翻訳』も、これから街に向かうにはありがたい。『地図』があれば、街の場所もわかるだろう。できたら車のナビみたいだったらなおいいんだけど。それに『翻訳』についていえば、イヤーカフで会話はなんとかなっても、文字にいたっては、まったく予想がつかない。
「よしよし、一応、ダウンロードに必要なKPを確認っと……」
そう言って、ワクワクしていた私だったけれど、現実はそんなに甘くなかった。
「うげっ!? え、なに、これ。1つしか選べないじゃないのよっ!」
それぞれに必要なKPが10万。しかし、私の手持ちのKP、10万が少し出たところなのだ。
画面上では、KPの数値の下1桁が少しずつ増えている。あ、2桁目が変わった。
これは、精霊たちのおかげで自然増加しているヤツだろう。今まではその数値が動くのを見たことがなかった。こうして上がっていく数値を見て、それだけ精霊が増えてきているのかと実感する。
散々、ガーデンフェンスやら、長屋や東屋やら、と山や立ち枯れの拠点周辺に使いまくっていたけれど(一時期は千を切りそうになるくらいまで)、どうやら、減少よりも増加の方のペースの方が上回ったようだ。
それでもやっと10万を超えただけ。
「えーと、どうする? どれを選ぶ?」
それとも一気に使えるようにするために、もう少し我慢するか?
「いやいや、それじゃ、いつまでたっても無理でしょ」
私は悩みに悩んで、結局、1つを選ぶことにした。





