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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
子供たちとの別れの夏

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第194話 ボリューミーな朝食に驚きを添えて

 立ち枯れの拠点で、ガズゥたちが戻るのを待っていたけれど、日が暮れても戻ってこなかった。まったく、どこまで見送りに行ったんだか……。まさか、王都までついて行くなんてことは!? ……ないよね?

 仕方がないので、私はログハウスに戻り、念のため彼らの明日の朝食の下準備を終えると、手慰み発動。ガズゥたち用のミサンガを作り始めた。

 キャサリンたちに渡している時、ちょっと羨ましそうな顔をしてたのがチラッと見えたのだ。さすがに2日連続で夜なべする気はおきず、眠気に負けてしまったのは許してほしい。


 翌朝、早めに立ち枯れの拠点に行ってみると、ガズゥたちが長屋で寝ているのを見つけてホッとする。いつ頃戻ってきたのだろうか。

 まだ寝ている彼らのために、朝食を作り始める。昨夜、ちゃんと何か食べたのか心配だったので、いつもよりボリューミーな朝食にした。まずは、昨夜準備したパン生地だ。中に小さなチーズとハムと一緒に丸めた生地を、フライパンに詰め込んで焼くっていうちぎりパン。

 それを焼き上げると、貯蔵庫にしまっておいたベーコンを厚めに切ってジュージューと焼く。私には1枚でも満腹になるのだけれど、彼らには2枚。目玉焼きも当然、一人2個。これに、うちの畑で育った大きめのトマトも添える。ガズゥたちは丸まんま齧るのが好きだが、ここはちゃんとくし切りで。スープだけはインスタントのコーンスープ。これくらいは勘弁してほしい。

 私には多すぎでも、彼らにはちょうどいいくらいだろう。


「おはようございます」


 最初に起きてきたのはガズゥだ。挨拶をするとすぐに顔を洗いに湧き水でできた人工池の方へと向かう。ちゃんと水飲み場を用意してあるのに、獣人の子たちはなぜかそっちに行ってしまう。不思議だ。

 その後すぐに、テオとマルが起きだして、ガズゥの後を追っかける。あの年で自分でちゃんと起きてこれるのだ。毎回偉いなぁと思う。

 東屋で、出来上がった朝食にかぶりつく姿を眺めながら、私はパンをつまみつつ、インスタントコーヒーを飲む。うん、まぁまぁの出来かな。


「そういえば、昨日はどこまでついてったの?」

「あ、昨日は一番近い町までいきました」


 口の周りを脂でギトギトにさせながら話すガズゥ。


「なるほどね。護衛の人達とか、大丈夫だったの?」


 妙なトラブルとかに巻き込まれやしないかと、それが一番気になるところだった。

 しかし、なんと、護衛たちは最後までガズゥたちに全然気付かなかったんだとか。かなりの距離をあけてついていったから、とも言っていたけれど、公爵の護衛たちって、大丈夫なんだろうか。

 ただ、ガズゥたちがついていったお陰なのか、公爵たちが1日かかるとかいってた時間が、なんとほぼ半日くらいでついてしまったんだとか。彼らが言っていた1日って、単純な走行時間だけじゃなかったのかしら?

 ……もしかして、ガズゥたちの気配に馬たちが怯えて頑張っちゃった、なんていうオチはないよね?


「あ、それとなんだけど」

「うん? どうした」


 ガズゥが皿をテーブルに置くと、少しもじもじしながら言いだした。


「俺たちも、家に帰れそうなんだ」


 ……お、おう!?


 ガズゥの言葉に、頭が真っ白になった。

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