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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
子供たちとの別れの夏

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第187話 新たな訪問者

 エイデンたちが撃退した人攫い集団だけれども、古龍のお城の地下牢に入れられたらしい。てっきり、エイデンのことだから、あっさり消し炭とかにしちゃいそう、と思ったのだけれど、意外と冷静に対処したことに驚いた。

 なんでも、聖女からそういう悪人は、殺してしまうよりも、生かして罪を償わせ続けるほうが辛いこともあるのだと教えられたのだそうだ。

 確かに、死は一瞬、と言われればそうだ。しかし、ずっと地下牢に入れておくのか、と思うと、彼らの面倒を見ているのは誰なんだろうか、と心配になる。

 ……いや、あんまり考えないでおこう。


「そろそろ、キャサリンの家の者が、ここに来そうだな」


 ガズゥたちの訓練をしていたエイデンが、ポツリと呟いた。


「そうなの?」


 東屋で訓練の様子を見ながら、食事の準備をしていた私。彼の言葉にびっくりする。今日は、少し暑いので冷しゃぶだ。最近はすっかり獣人の子供たちが獲物を獲ってきてくれるので、肉類に困ることはなくなっている。

 それを器用に薄切りにしてくれるから、助かること、助かること。特にエイデンが。


「ああ、まだ、少し遠いようだが、大きな馬車がこちらに向かってくるのを感じた」

「え、本当!? ……ていうか、馬車を感じるの?」

「かなり大きな魔石を使った魔道具を載せているようなんでな。普通の馬車だったら、さすがにわからん。それがかなりのスピードで真っすぐにこっちに向かっているようだからな。こんなものに乗るのは、貴族か大商人くらいだろう。そうなると、キャサリンのお迎えじゃないかと思うんだがな」


 なんですと。

 大きな馬車の他に、護衛のような者たちも数人付いているらしい。


「お迎えが来るのですか!」


 レタスをちぎっていたキャサリンとサリーが、驚いたように声をあげる。


「たぶんな」

「え、やだ、ちょっと、ちゃんとお迎えしないとダメなんじゃ?」

「大丈夫だろ?」

「いやいやいや、キャサリンの家、貴族様なんだし、そういうわけにもいかんでしょ」


 今の彼女たちの格好は、畑仕事がしやすいようにと、半袖のTシャツに女の子用のひざ丈のズボンだ。髪の毛も、黒いゴムでポニーテールにしてるだけ。


「あとどれくらいで来そうなの?」

「うーん、あのスピードだと、あと2時間もすれば来るぞ」

「時間あんまりないわね」


 まだ食事の準備の途中だけど、さすがに畑仕事後の汗をかいたままの状態で会わせるのもどうかと思うしな。

 なので、急いで食事の準備を終えると、さっさとキャサリンたちに食事をさせて、すぐにお風呂に直行。今では一人でもお風呂に入れるようになったキャサリンとサリー。キャサリンはすっかりお姉ちゃんモードだ。


「よし、今のうちに、着替えを探さなきゃ」


 慌てて長屋の女の子部屋に入って、着替えを探す私なのであった。

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