表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
異世界の夏、ドラゴンの夏

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

194/978

第181話 古龍、ストーカー行為を認識する

 1週間のお仕置きのおかげで、獣人の子供たちは……なかなか逞しくなっていた。

 元々、身体能力が高いせいか、1つ目の走らされることは、ほとんど苦にならなかったらしい。全然、お仕置きになっていない。

 一方で草むしりの方が辛かったようだ。ずっとしゃがんで、草むしりだものね。

 でも、おかげで、立ち枯れの拠点周辺と、道沿いや山を囲う柵の周辺の草はほぼなくなった。といっても、また生えてくるんだろうけど。


 同じように1週間のお仕置き後の古龍とノワールなんだけど。


『五月~!』

「五月~! へぶっ!?」


 女の子組と一緒に、立ち枯れの拠点の柵の外、ハーブ類の鉢植えに水をやっている時に、彼らはやってきた。

 ノワールは結界をスルーして私に抱きついてきたけれど、古龍はいまだに入れないようにしているので、結界に衝突して、倒れこんだ。無事だろうな、きっと。


「……反省した?」

『した! した!』

「ちゃんと、周りをよく見ること。それと……古龍にこっちの情報は流さないこと」

『……はい』

「本当に?」

『な、なるべく?』

「……どうやら、もう1週間、追加が必要のようね」

『いや、絶対、絶対守るっ!』


 そんなに古龍と一緒にいるのが大変だったんだろうか。と、結界の外で立ち上がって、しょんぼりしているイケメンアラサー古龍に目を向ける。

 そういうウルウルした瞳は、もっと可愛い子がするから、絆されるんだけど。


「古龍も、ストーカーみたいなことはやめてください」

「……すとーかーとはなんだ?」

「こっちが気持ち悪いって思うくらい、つけまわす人のことですよ」

「なっ!? お、俺は、つけまわしてなど」

「ノワール使って、私の居場所を把握したりとか、いきなり、まるで見てたかのようなタイミングで念話で話しかけてきたりとか」

「そ、それがいけないことなのか?」


 コテリと頭を傾げても、可愛くないですからっ!


「気持ち悪いって言ってるんですっ! そりゃぁ、確かに前世とかでは聖女とかで、古龍とは親友だったって、稲荷さんからは聞きましたけど。でも! 今の私はあなたのこと、ほとんど知らないので! 知らない人に自分の行動を一々把握されてるとか、ありえないでしょ!」

「あ、ああああっ!」


 私の怒りの声を上回る大きさで、いきなり声をあげる古龍。

 そんな、世界が終わったみたいな顔をしないで欲しい。


「そ、そうであったな……俺は、その、五月のことをずっと見てたから」

「……だから、それが気持ち悪いっていうんです……」


 ――わかってないね。この人は。


 そう思ってジッと彼を見ていると、今度は、うるうるではなく、本当に涙を流し始めた。おいおい、いい年した……いや、実際いくつかは知らないけど……大人に見える男が、泣きますかっ!?


「す、すまぬ。どうも、その、舞い上がっていたようだ」

「そ、そうですか」

「ずっと、ずっと待っておったのだ……聖女が戻ってくるのを」


 ポロポロと涙を零し続ける古龍を、私は何とも言えない気持ちで見つめるしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ