第174話 ついに来やがりましたよ! アレが!
平穏な日が続いたのは3日ほどだったろうか(遠い目)。
その3日間、子供たちは、石や果物、焚き付けになるような枝などを集めてきてもらった。必ず、ホワイトウルフが数匹、彼らのボディーガードみたいに張り付いているのだが、子供たちは嬉しそうになでなでしながら、歩きまわっていた。
水飲み場も東屋の近くに作った。ガズゥたちが集めた石はかなりの数になって、ちょっと立派な感じの水飲み場になってしまった。これも異世界仕様なのか、ずっと水が流れている。それも、ひんやりとした冷たい水が。
その水飲み場の下には、食器などの洗い物もできるようにスペースが出来ていて、なかなか、いい感じだ。ただ、その排水がどこに流れていくのかは、不明……うん、知らなくてもいいんだろうな、と思うことにした(遠い目)。
そして、小さめの鶏小屋も作って、ここに数羽、引っ越しさせた。卵の大きさは……ここでは、通常サイズのようだ。何が違うのか。そして、小さい池から流れている水路に沿って、細長い畑を作った。ここには、すぐに採れて食べられそうな、トマトの苗を植えてみた。残念ながら、3日では生らなかった。
ガズゥには、私がキャンプ用にと買っておいて使ってなかった、大きめのナイフを渡した。なんとガズゥは、山に野兎がいるので、狩りに行きたいと言いだしたのだ。
彼は10歳くらいの子供のはずで、そんな子供が狩りをするのか?
これは異世界的常識なのか、悩んだけれど、ホワイトウルフたちが、俺たちに任せろ! ってな感じで彼らの後ろで構えているので、まぁ、いいか、と思ってしまった。
これがまぁ、上手い事、狩ってくること!
『ガズゥは、狩りが上手いね』
『私たちと一緒に走れるくらいですもの』
まるで自分たちの子供かのように、ガズゥを褒めまくるのは、ユキとスノー。フェンリルの血筋のユキからすると、同じ血筋(?)のガズゥは身内のようなものらしい。
ユキの知っている話でいうと、聖獣のフェンリルというのは、代替わりをするそうだ。なのでビャクヤの祖先とガズゥの祖先のフェンリルは別モノらしい。中でも、人と交わったフェンリルというのもいたそうで、こっちは人化もできる変人(変フェンリル?)だったそうだ。本来、ホワイトウルフだったビャクヤたちに伝えられるくらいだから、相当だったんだろうなぁ……。
まぁ、そんなこんなで、のんびり山での生活をそれなりに楽しんでいた私たち。
立ち枯れの拠点の柵のない土地(ハーブ類を置いてるところ)で、ちびっ子たちと一緒に、水やりをしたり、鉢の中に生えている草をむしったりしているところにノワールが飛んできた。
なんと、あれから頑張って魔力を抑えることを覚えたノワールは、時々、近くまで飛んできて様子を見ていたらしい。気が付かなかったよ!
『五月~、古龍様来たよ~』
いきなりのノワールの声に固まる。
ノワールの声は私にしか聞こえないようで、子供たちは草むしりに夢中。
『五月~、ほら、アレ』
ノワールが指さす方向に目を向けるけど、青い空しか見えない。
「は? え、どこ?」
「さつきさん?」
キャサリンの不思議そうな声に、私は反応できなかった。
『五月! 会いたかったぞっ!』
だって、いきなりお腹に響く声が、私の身体にぶつかるように飛んできたんだもの。これも、子供たちには聞こえないのか。無反応。
そして。
はい、ドーン。
突然、バカでかい真っ黒なドラゴンが、立ち枯れの拠点の結界に、へばりついてましたよ。
結界、壊れなくてよかったよ……はははは。





