第173話 キャサリンとサリーは魔法使い
ガズゥたちが石を拾って戻ってくること、2度目。同じようなタイミングで、マルとキャサリン、サリーが戻ってきた。彼女たちの周りには緑の光の玉がふよふよ浮かんでいる。
「このふくろいっぱいになってしまったので、もどってきたの」
3人ともが、私が渡した大きめのストックバックに、ギュウギュウにさくらんぼを入れて戻ってきた。
「いっぱい採れたね!」
「うふふ」
「マルもがんばった」
「すごいすごい!」
袋を受け取り、一旦、『収納』する。後で水飲み場が出来たら、そこで洗ってみよう。
「このこやは?」
「うん、新しく建てたの。こっちだったら、地面に直接ではないから、もう少しゆっくり寝られるんじゃない?」
キャサリンは恐る恐る中を覗く。ちょっと暗いから、怖いかな。
「一応、これ、ライトがあるから、真っ暗にはならないと思うのよね」
「わぁ……」
サリーは私の手の上のLEDライトに興味津々。
「さつきさまは、ひかりのまほうがつかえるの?」
「うん? いやいやいや、魔法は使えないよ」
「でも、それは」
「これは、サリーでも使えるわよ」
そして、使い方を教えてあげると、おお、と声があがる。なんと、子供たち全員が集まっていた。
「すごい。おれたち、まほうがつかえないから、たすかるな」
「わたしも、せいかつまほうはつかえないの……サリーはできるけど、ずっとはつかってられないから」
「そういえば、火種はサリーが魔法で点けてたっけ」
私がそういうと、サリーが少し恥ずかしそうに「ライト」と呟いて、指先に小さな光……豆電球くらいの光を灯した。
「おおおっ!」
私だけではなく獣人の子供たちも一緒に声をあげる。照れくさそうなサリーを、自慢気に見ているキャサリン。
「でも、まりょくがすくないから、ちょっとしかつかえない」
「そうなの?」
「サリーはまだこどもだから。わたしもまほうはつかえるけど、こんとろーるがへたなの」
いやいや、キャサリンさん。あなたも十分子供ですよ。
「だから、れんしゅういがいではつかっちゃだめって」
「そうなのね」
もしかして、その魔法ってのが使えてたら、こんなところに来なくて済んだのでは、と、ちょっとだけ思った。でも、彼女がどんな魔法が使えるのかはわからないし、その魔法がコントロールできないってのも、危なそう。そもそも、恐そうな大人相手にちゃんと魔法が使えただろうか……無理だろうな。
「ちなみに、キャサリンはどんな魔法が使えるの?」
「えと、つちのまほう」
「土の魔法? 例えばどんなことに使えるのかしら」
「このまえならったのは、『アースウォール』というのをやったわ」
「『アースウォール』というと、土の壁、ということかしら」
「そうよ。でも、こんとろーるがへただから、おおきすぎたり、ちいさすぎたりしてしまうの」
悲しそうな顔で答えるキャサリン。
魔法というと攻撃するもののイメージが強かったけれど、彼女はまだそういうのを習っていないらしい。どうも、あと2年したら、そういうのを本格的に学ぶ学校に行く予定だったのだとか。
映画で見たいわゆる魔法学校が存在するのか、と思ったら、ちょっとだけワクワクした。





