第171話 子供たちへのお願いと精霊(やらかした私)
食事を終えた子供たちは、女子組も含め、私の目の前に目をキラキラさせながら並んでいる。その後ろには、ちゃんとお座りしているホワイトウルフたち。なぜか、彼らも期待に満ちた眼差し。
「そ、それじゃあ、ガズゥとテオで大きめの石を集めてきてくれる?」
「いし?」
「そう。集めた石は、あの木の下あたりに集めておいてくれる?」
水飲み場の石は、大きい石じゃなくてもよさそうなのだ。アプリが上手い事やってくれるらしい。さすが異世界クオリティ。だったら、無しでもいいじゃん? って私は思うんだけどね?
石置き場として、ユーカリの木の下を指さすと、2人が素直にコクコク頷く。
「それと、マルくんは木登りが得意だったよね?」
昨日、楽し気に木に登っていたのを思い出す。犬の獣人らしいんだけど、そういうのは関係ないらしい。単純に身体能力が高いってことなんだろう。
「うんっ!」
「だったら、キャサリンたちと一緒に、昨日みたいに、さくらんぼを採ってきてくれる?」
「あの赤い実?」
「そうそう!」
「いいよ!」
「キャサリン、小さい子の面倒をお願いしても大丈夫かな?」
「ええ。よく、こじいんにおかあさまといもんにいって、シスターのおてつだいをしてたから、だいじょうぶよ」
おお。なんか、貴族っぽいこと言ってる。というか、そうか、孤児院なんかもあるのね。
『さつき、さつき』
「ん?」
緑色の光の玉が、私の近くに集まってきた。
「もしかして、風の精霊かな?」
『そうよ!』
『あのね、わたしたちも、おてつだいするわ!』
『さくらんぼをおとすくらいなら、わたしたちでもできるわ!』
「え、お願いできるの?」
『とうぜん!』
『さつきのおねがいだったら!』
「やだ、助かるわ……じゃあ、さくらんぼが終わったら、ブルーベリーの生っている果樹園の方もお願いできるかしら」
『いいわよ!』
うふふ。これなら、自分で採らなくて済みそう!
「さつき? だれとはなしているの?」
キャサリンが不思議そうな顔で聞いてくる。
――あれ? もしかして、彼女たちには見えていない?!
「えーと、ここに緑の光の玉があるんだけど、キャサリンには見えない?」
「みどりのひかりのたま?」
「うん。ガズゥは?」
「……みえない」
しまった。
てっきり、こっちの世界の人は見えるものだと思っていた。普通にビャクヤたちとしゃべってたせいかもしれない。
……というか、ビャクヤたちの会話って。
「ガズゥ、ユキとかスノーとの会話って」
「フェンリルさまですか」
「聞こえてはいなかったり?」
「フェンリルさまたちとおはなしできたの?!」
「すごい、すごいっ!」
あうっ! ガズゥが答えるよりも先に、ちびっ子たちが、はしゃぎだした!
「あ、あははは」
なるほど。
うん、なんか、私がちょっと違うのねってことだけは、わかった。





