第169話 しっかりお兄ちゃんとお姉ちゃんしてます
次の日、彼らの朝食を作りに、立ち枯れの拠点に行った時、小屋の中で剥き出し状態で彼らが寝ている姿が目に入った。
一応、昨日ホームセンターで折り畳み出来るごろ寝マットを人数分を買ったので、コンクリートに直に寝ているわけではない。だけど、ドアも何もない状態では雨が吹き込んできたりしたら、ずぶ濡れ確実。
いつ天気が崩れるか予想できないからには、ちゃんと戸のある家を建てないとまずいんじゃないか、と思った。
「おはようございます」
今日もバイクの音で目が覚めたのか、最初に起きだしてきたのはガズゥ。後からテオとマルが起きだした。女子組は安定の熟睡モード。
「おはよう……ほら、さっさと顔洗ってきなさいな」
フェイスタオルを渡すと、3人そろって裸足で小さい池のところへと走っていく。一応、ビーチサンダルを渡したのだけれど、裸足の方がいいらしい。
昨夜、風呂上がりにパジャマに着替えさせたのは、3人お揃いのグレーのジャージ素材のTシャツに半ズボン。ちゃんと尻尾が出ている様子に、稲荷さんグッジョブ、と内心褒めておく。
戻ってきた彼らを、新しい服に着替えさせる。ロングTシャツにパンツの方はジャージ生地。まとめていくらっていうので買ったので、デザインはバラバラ。若干、マルには大きい感じだったり、ガズゥには小さいかもって感じだけど、まぁ、そこは許してもらおう。
ジャージのパジャマを受け取った時、3人とも目をキラキラさせていたけれど、今度の服の方は、ガズゥとテオは申し訳なさそうに、マルは変わらずに嬉しそうな顔をしている。
「今着ているのは寝るときに着るの。こっちは汚れてもいいようのだから、こっちのに着替えてね」
ガズゥは頷くと、ちびっ子2人と一緒に着替えさせ始めた。
私の方は、朝食の準備に取り掛かる。朝食と言っても、目玉焼きとソーセージ、バターロール。それに牛乳とブルーベリー。こうして子供たちにあげているせいで、ジャムを作る間もなく、在庫がどんどん減っていく。
後で、子供たちにブルーベリーやさくらんぼを採ってきてもらってもいいかもしれない。
ソーセージの焼ける匂いにつられたのか、女子組も起きてきた。
「五月様、おはようございます」
少し眠そうな顔のキャサリンと、大あくびしながらついてきているサリー。昨夜、風呂上りに着たお揃いのピンクのネグリジェは、なかなか似合っている。
「おはよう。2人も、あの池のところで顔を洗ってきて」
「はい」
キャサリンがサリーを連れて池の方へと歩いていく。彼女はちゃんとビーチサンダルを履いている。私は彼女たちの着替えを『収納』から取り出す。こっちは、シンプルな紺色のワンピース。これにビーチサンダルは似合わないけど、まぁ、仕方がない。
たぶん、本来はサリーの方がキャサリンの世話をしなくちゃいけないのだろうけれど、どうも子供返りしてしまったようで、キャサリンの方が世話をしている感じになってしまっている。
それでも、ちゃんと面倒を見ているキャサリンは、とても偉いと思う。





