第148話 ブルーベリーは目にいい、だけじゃなかった
他に何か出来ることはないのか、考えていると。
『さつき~、きょうとったぶるーべりー、たべさせてみて~』
いつの間にか、私の頭の上でノワールがふよふよ飛んでいた。
それって、ブルーベリーに何かしらの効能があるってこと!? 普通に美味しいから収穫するだけしてたけど、鑑定すれば何か出てきたのかな?
そして、ハッと、気が付いて周囲を見回す。
やっぱり。ノワールがこんなに私の近くにいるんだもの、他のホワイトウルフたちが広場の端の方にいっちゃうよね。その上、伏せの状態で固まっているわ。
ユキとビャクヤと怪我している子だけが、その場にいる。ノワールの魔力に耐えられるようになったのか、もしくは、ノワールの方が抑えられるようになったのか、それでもユキとビャクヤともに、プルプルと震えながらその場でお座りをしている。
これ、さっさとノワールに離れてもらわないとじゃないの?
「あのさ……ホワイトウルフって、肉食じゃないの?」
『肉食ですが、木の実を食べることもありますよ』
「そうなの!?」
『ほら、はやくぅ』
「わ、わかったわよ」
ノワールの言葉に従って、『収納』からブルーベリーの入っているストックバックを一つ出す。その中でも、一際大きなのを一粒取り出して、軽く水洗いしてから、ホワイトウルフの口元へと持っていく。
「噛みつかないでよ~」
ユキが足を外したけれど、どうも力が入らないのか、少し虚ろな目だけが私の方に向けられる。
「くっ、仕方ない。マジで噛まないでね」
私はホワイトウルフの大きな口を開けると腕ごと中に入れ、喉の奥へとブルーベリーを投げた。
コクンッ
飲み込んだ!
しかし、これですぐに何かが変わるって感じでもない。私はもう一粒、ホワイトウルフの喉の奥に放り込む。これも素直に飲み込んでくれた。
私はもう一粒、と思ってストックバックに手を入れようとしたところで……ホワイトウルフの様子が変わった。苦しそうに横になっていたのが、ゆっくりと身体を起こしたのだ!
「え、マジで、ブルーベリーに効果あり!?」
ホワイトウルフ、横座りしたまま、大きな尻尾をブンブン振り回し始めたよ!? 虚ろだった目も、今はキラキラしてる!
『よかった!』
『ああ、助かった!』
そう行って、ビャクヤたちは傷ついていたホワイトウルフを、頻りにべろべろと舐めまくって毛づくろいしてる。
「ブルーベリーって目に効果があると思ってたけど……こっちでは違うのねぇ」
ストックバックを片手に、思わずぽそっと呟く。
すると、私の隣にノワールが着地して「チッチッチ」なんて舌打ちをする。
『これはぁ、さつきのしきちで、さつきがそだてたものだから! こいつにかかっていたのろいをといたんだよ』
……のろい……のろい……呪い?
……は?





