表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
夏はちょっとトラブル続出

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

156/979

第146話 焦るビャクヤ、びびる五月

 敷地で待っていたビャクヤは、少しばかり薄汚れているように見える。

 ノワールも一緒にいるのに、それどころではない、という感じで話し始めた。


『申し訳ございません』

「何、どうしたの?」

『ユキの番が、傷を負いまして』

「うん? 番?」

『はい、昨夜、狩りの最中に獲物から反撃を受けまして、その際に受けた傷が』

「え、え、どういうこと?」


 私と話しているうちに落ち着いてきたのか、ビャクヤの話の内容がようやく見えてきた。

 どうも、その獲物の持っていた武器に、毒らしきものがついていたらしく、かすり傷だと思っていたものが、今頃になって悪化してきたらしい。

 武器を持っているような獲物って何? って思ったけど、ここは異世界って言ってたし、もしかして、某ファンタジー映画とかに出てきてた、豚みたいなキモい顔の生き物とか、そういうのかしら。

 それに、あのお子様だったユキに番って、どういうこと?

 いや、でも、動物は大人になるのは早いっていうし、アリなのか? なんて考えてみても仕方がない。

 とにかく、その傷を見てほしいというのだ。


「いや、私、獣医でもないんだけど……とりあえず、救急箱持って行くか」


 ログハウスの中に入って、小さな箱を取り出す。ほんとに自分用にっていう頭痛薬や風邪薬のような内服薬と、切り傷が出来た時にいつも使っている塗り薬。それと消毒液、絆創膏や包帯くらいしかない。そもそも、人に効くものが動物に効くのか? あ、動物ではなくて、魔物なのか?

 それに、念のため、大きめのタオルとか、トイレットペーパーを2、3個を合わせて『収納』する。

 

『五月様! あと、池の水もお願いします』

「池の水?」

『はいっ、精霊の力を含んだ水です。もしや、毒に効くのではないかと』


 そんな都合のいい話があるのかは、微妙だとは思ったけど、ビャクヤの頼みだしね。

 私は折りたたみのバケツにいっぱいの水を入れて『収納』にしまう。逆に、バケツ一杯で足りるのかな、とも思ったけれど、他に使えるものもないので諦めた。


『それでは、そのままお連れしますので、私の背に』

「は、はいよっと」

『いきます!』


 ビャクヤの背中に乗ったと同時に、掛け声とともに、一瞬でビャクヤは飛んだ。


 ――そう、飛んだのだ。


 眼下にはログハウスの屋根。


「ヒッ!?」


 ギュッとビャクヤの毛を掴む。いきなりすぎて叫び声も出ない。

 そのまま、物凄い勢いで山の斜面を駆けあがっていく。私はビャクヤの背中にしがみつく。


『びゃくや~、さつきをふりおとすなよぉ』

『はっ!? も、申し訳ございませんっ』


 ノワールの声で、ビャクヤも私の今の状況に気付いたようで、少しだけスピードが急に落ちた。


「は、ははは、いや、あせってるのは、わかるよ……」

『さつき、だいじょうぶ~?』


 なんと、ノワールが同じようなスピードで脇を飛んでる!?


「だ、大丈夫だけど、ノ、ノワールの方こそ」

『ぼくは、だいじょうぶ~』


 ノワールののんびりした言葉とは裏腹に、ビャクヤはどんどん進んでいく。

 先ほどのトップスピードほどではないにしても、かなりのスピードで斜面を駆け上がったかと思ったら、今度は駆け下りる。チラリと立ち枯れの拠点の辺りが見えたかと思ったけど、それも一瞬。

 隣の山の中へと、ビャクヤは駆けのぼっていく。


 ……私は初めて、よそさまの山の中へと入っていったのだった。

 無断で入っても大丈夫なのかなぁ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ