表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
夏はちょっとトラブル続出

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

151/980

第143話 空飛ぶノワール

 キャンプ場の管理小屋に寄って、イヤーカフを受け取り、翻訳アプリなるものの存在を知る。


 ――いつまで経ってもKP貯まらないじゃないかぁっ!


 という私の心の叫びは置いといて。

 トンネルを抜けると、天気も回復しているようで、雨はすっかり止んでいた。


「……やだ。もしかして、あの男の人が戻ってきてたらヤバいじゃない」


 日本人の女性の平均身長な私ですら、半日もあれば山の半周くらいをまわれるのだ。あんな大柄な人だったら、すぐにでもログハウスの敷地の下あたりまでやってきそう。

 急いで敷地まで戻ると、軽トラをログハウスの前に駐車する。軽自動車の入ってる小屋は、2台目を入れる大きさではないので、そのまま置くしかない。

 私は荷物をログハウスの中にしまうために、玄関ドアを開けた。


『おかえり! さつき!』


 部屋の奥からとてとてと歩いてきたノワール。大きさはすでに3、4才児くらいあって、抱っこするのも厳しい。


「うん、ただいま! ちょっと急いで、柵作りに行ってくるわ」

『だったら、ぼくもいくっ!』

「え、いや、でも」


 ちょっとノワールを抱えては無理なんだけど。


『だいじょうぶ! ぼく、とべるようになった!』

「えっ」


 なんと、ノワールが、ふよふよと浮かんでいるっ!

 あの小さい羽で、どうして飛べるのか不思議。ちゃんと、パタパタ動いているから、羽を使っているのはわかるんだけど、どう見ても不安定。見ているこっちがひやひやする。


『さつき、ぼくがまもる!』

「う、うん、でもさ」

『いーくーのーっ!』


 正直、ノワールの魔力が、どれだけ抑え込めているのか、すごく不安。ビャクヤたちに近くで守ってもらえるのだろうか。魔力っていうものが目に見えないから、困る。

 ……仕方がない。もしもの時は抱えて走るか。


『さつきー』

「わかった、わかったって」


 私は軽トラの荷物を運び終えると、タブレット入りのバッグを肩にかけると、カウベルを手にする。ガランガランと大きな音をたてながら、ログハウスから出る。

 排水口のそばの道は、少しだけぬかるんでいるので、転ばないように足元に注意しながら歩いていく。ノワールはそんな私のそばをふわふわと飛んでいる。ちょっと羨ましい。


『五月様、お戻りになられましたか』


 ビャクヤからの声が頭の中に響く。思わず、周囲を見回すけれど、彼の姿は見えない。


「ビャクヤ?」

『はい。少し離れたところにおりますが、見守らせていただいておりますので』

「あ、やっぱり、ノワールの魔力、キツイのかな」

『……残念ながら、私でもおそばには……』

「そっか。わかった。何かあったら、声をかけてね」

『かしこまりました』


 うん、やっぱり、ノワールはまだ難しいのか。

 

「急がなくちゃね」


 ぼそっと呟いた私は、足元を気を付けながら、山道を下りていくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ