第142話 ネットで自衛グッズを調べてみる
久々にスーパーの帰りに、ファミレスに寄った。
田舎とはいえ、昼時はけっこう混んでいたけれど、一人で四人掛けのテーブルについてしまった。ちょっとの優越感と罪悪感。
ヘルメットと箱入りのスタンガンとともに、スーパーで買ってきた物も、そのまま軽トラに置いてきた。そろそろ暑くなりだしているから、早めに戻りたいところではあるんだけれど……。
「せっかく、ネットが繋がる環境に来たんだし、ちょっと調べないとねぇ」
さっさと食事の注文だけすると、スマホで検索しまくる。
まずは、地元のホームセンターにはなかったけど、防御用に使える盾。よく、海外のニュースとかで暴動鎮圧をするときに、透明な盾みたいなのがあったのを思い出したのだ。
「あー、ポリカーボネート? 防護盾かぁ」
自分の身体のサイズを丸々カバーできそうなのもあれば、円形で小さいタイプのなんていうのもある。これはネットの通販でないと買えないのかなぁ。その流れで、警棒なんていうのも出てきた。これも買えたりするのか? びょーんと長くなるやつのようで、一瞬、ライ〇セーバーを思い浮かべる。いや、あんなんじゃないから。
「それに……あー、獣除け用の電気柵なんてのもあるのか……へー、ソーラーパネルでやるようなのもあるんだ」
あの見るからにボロボロの格好からして、文化レベルは低いはず。そういう相手だったら、ビリビリッとすれば、びびって来なくなったりしないだろうか。
「あとは、自動で灯りが点くやつとか、音が鳴るのとか……もう完全に獣と同じ扱いよね」
こういうのを設置するなら、柵の外側とかにやっておくのが無難か。ついでに、普通に獣が獲れたりする可能性もある? それだったら、ラッキー、くらいな感じ?
「いやぁ、でも、人相手に、自分がどれだけ対応できるかなぁ……全然、想像できない」
そもそも、あちらに警察組織があるとは思えない。
その代わりのビャクヤたちなのかもしれないけど、彼らは……加減なんかしなさそうだしなぁ。
「お待たせしました、海鮮丼セットです」
「あ、どうも~」
ふー! 海鮮の生もの食べるの、久しぶりすぎるっ! 小皿に少しのわさびを醤油で溶かして、全体にさらーっと流しかける。
あちらにも川はあったけど、魚を獲ったりとかしてないし。そもそも川魚を獲ったところで、まともに処理なんか出来ないしなぁ。単純に串刺しにして塩焼きとかにして食べるのが無難なのか。
「……釣りの道具、今度買ってみようかな」
なんてことを考えていたところに、誰かからメールが来た。
「稲荷さん?」
内容は、翻訳用の道具を用意できたので、キャンプ場の管理小屋に寄るようにとのこと。
「助かったぁ……これで、少しはまともに対処できるんじゃない?」
なんて、少しだけ楽観視してました。はい。
甘いよねぇ……。





