第141話 軽トラと自衛グッズ、ゲット!
中古の軽トラは……買ってしまった。4WDのいいやつ、らしい(軽トラのいいやつ、っていうのが、よくわからないけど)。
正確には、稲荷さんに買ってもらってしまった。会社の持ち物って扱いにするらしい。だから契約者は稲荷さん。それはまずいでしょう、と思ったのだけれど「危険手当です」と言われ、一瞬、なるほど、と思った。
だけど、よく考えたら全然足りませんよね?
ちなみに、こちら側は気持ちのいいほどの快晴でした。だから、普通に稲荷さんも誘いに来たわけだ。
初めての軽トラは、正直、すぐには慣れなくて、恐る恐る運転してみた。回数をこなせば、そのうち慣れるだろう。
その後は、稲荷さんと一緒に、ホームセンターに自衛グッズがないかと探しに行った。
しかし、実際には痴漢撃退とかのブザーとか、自転車の盗難防止とか、泥棒除けとかのライトくらいしかない。なんて、安全な国なんだ、と、改めて思う。
中でも、なんとか使えるか? と思ったのはスタンガンくらい。これだって、在庫があと1つって感じ。でも、自分が捕まっちゃった時にしか使えないよね?
当然、遠距離で攻撃できるようなものなんて、あるわけもなく。とにかく、襲われないことが一番だということだ。
むしろ、防御のことを考えたほうがいいのか、と、それらしいものを探してみるけど、田舎のホームセンターじゃ、そんなものはないのだなぁ、と実感。
「ま、まぁ、日本で普通にホームセンターで売ってるものじゃないでしょうからねぇ」
稲荷さんも、苦笑い。
とりあえず、防災用のヘルメットとスタンガンだけ購入すると、スーパーに寄ってから戻ることにした。
「他にも使えそうなものがあれば、そちらに持っていきますよ」
ホームセンターの駐車場で、稲荷さんがのほほんと言う。それも危険手当ということで、なんて軽く言うから、かなりイラっとした。そうじゃないだろう!
「いやいや、大丈夫ですって!」
「なんの根拠で、そんなこと言うんです?」
「だって、古龍様がそろそろいらっしゃるんでしょ?」
……あ。忘れてた。
「ノワールもそうですが、古龍様もいらっしゃれば、あの山周辺は大丈夫でしょう。ビャクヤたちだっていますしね」
……過剰戦力。
いや、でも、襲われる心配がなくなるのなら、その方がいいのか?
「……古龍様って、何食べるんですかね?」
もし、来ていただいたことで、安全になるというのなら、一応、接待しないといけないだろう。
「いやぁ、何でも食べるんじゃないですか?(元聖女である望月様の作ったものなら)」
「えー。でも、古龍って、ドラゴンですよね? なんかやっぱり肉食?なイメージだけど……いつくるかわかんないしなぁ」
肉を冷凍するのもなぁ。いや、貯蔵庫で熟成させるとうのも、アリなのか?
私たちはそこで分かれると、ノワールのお土産と、種付きの果物がないか、探しにスーパーに向かうのであった。





