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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
夏はちょっとトラブル続出

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147/1013

第140話 稲荷さんの『過剰戦力』と私の『過剰戦力』

 軽トラに乗ってあちら側に行く間、稲荷さんに、第一異世界人との遭遇を伝えた。


「えぇぇっ! あんな所によく人がいましたね!」

「こっちこそ、びっくりですよ! 一応、ビャクヤが様子を見てくれているみたいなんですけど……そういえば、なんか知らない言葉で怒鳴られて」

「あっ」

「……もしかして、会話通じないとか?」

「あー! そうでした! 望月様はあちらから普通に移動してるだけなんで、異世界の言葉は通じないんでした!」

「……それって、こっちの村とか町に行っても、買い物できないんじゃ」

「ま、まぁ、そこは手振り身振りとか」


 ――海外かよっ!


 いや、海外でも英語があれば、なんとかなるパターンもある。そんなに英語できないけど。


「えーと、えーと、うん! ちょっと、イグノス様に相談しておきますっ!」

「お願いしたら、どうにかなるんですかね?」

「うん、たぶん、大丈夫っ!(ヤバ―。絶対、イグノス様、忘れてるでしょ!)」


 もうこれは稲荷さんを信じるしかない。


「それにしても、驚いたでしょう。あちらの人間は身体が大きいから」

「はい、それに……こう言ってはなんですけど、ボロボロな格好でちょっと……近寄りたくはないなぁと」

「うん?」

「なんていうんですか、昔の時代劇とかに出てきそうな、山賊みたいな感じで」

「ああ、なるほど(たぶん、山賊というか盗賊だと思うけど)」

「後で防犯グッズを買って帰ろうかなって思うんですよ」

「それは大切ですね。熊除けスプレー、持っていらっしゃいますよね? あと、まずは遭遇しないのが一番だと思いますよ? 結界とかって、どうしてます?」

「はい、一応、山の周囲をぐるりと囲もうかと」

「あ、だから、この道の両サイドに柵があったんですね」


 稲荷さんがチラリと道の脇にあるガーデンフェンスに目を向けた。うんうん、と頷きながら、稲荷さんは言葉を続ける。


「ビャクヤたちも見て回ってくれるでしょうから、それほど心配はないと思いますが……大人数で来られたら厄介ですからね。早めに山全体を結界で囲ったほうがいいでしょうね」

「ですよねぇ」

「ノワールももうちょっと大きくなったら、かなりの戦力になるとは思うんですがねぇ」

「いやいや、あの子、ドラゴンですよね? どんな力があるかわかりませんけど……人に対して、過剰戦力なんじゃ」

「甘いっ、甘いですよ!」

「えっ」

「あちらに魔術が使える者がいたらどうするんですか。まぁ、望月様の結界は、そう簡単に破られるとは思いませんが、万が一、を考えたら、過剰くらいが丁度いいんです(そもそも、ホワイトウルフたちですら、一般人には猛獣として恐れられているんですけど)」

「……(私が思ってる『過剰』よりも、もっとやばいんじゃ)はぁ」


 というか、そんなにヤバい世界に住んでるの? 私。

 改めて、異世界、怖い、と思った私なのであった。


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