第129話 ホームセンターと苺の苗
ホームセンターに着いて車から降りてみると、蒸し蒸しとして暑かった。
時期としては、そろそろ梅雨に入るくらいか。あっちは山の中だからか、明らかに気温や湿度が違うのを実感する。
まずは脚立を購入するつもりだったのだけれど……軽自動車に入りきるサイズはなかった。いや、小さいのだったら、あったんだけど、ログハウスの屋根まで、となったら、無理だった。これは稲荷さん案件とすることにした。
その代わり、ポータブル電源はゲットした。今あるのよりも、大容量(?)。延長ケーブルも買った。
今までは必要な時だけソーラーパネルで充電してたので(使うのはスマホやLEDライトの充電や洗濯機を使う時くらい)、出したり、しまったりと、ちょっとだけ面倒だった。
それを今回は、ソーラーパネルを出しっぱなしにして、延長ケーブルで室内のバッテリーに繋いで冷蔵庫専用のバッテリーにしてしまおうと思うのだ。
……正直、お高かったけれど、これはもう仕方がない。
そして念願の冷蔵庫!
そりゃ、大きな3ドアとかは買えない。当たり前だ。でも、一応、冷凍庫付きの小さい冷蔵庫はゲットした。これで、氷が作れるし、アイスクリームも保存できる!
大物の他に、大きめのガラスの瓶を何個か買う。これで梅シロップが作れるかな。それにジャムも……。
……ジャム。
「あっ」
ジャムで思い出した。
「苺忘れてた!」
慌てて苺の苗がないかと植物の売っているコーナーへと行ってみたけれど、時期が悪いのか、売っていなかった。
「くぅっ、残念」
そういえば、時期的にいちご狩りも終わりくらいかもしれない。もっと早くに気が付けばよかった……。
とりあえずスマホで苺の苗を植える時期を調べる。どうも秋頃がいいらしい。地植えよりもプランターの方が苺を傷めないで済みそう。これはプランターを買っておくべきかな。
「残念。じゃあ、ブルーベリーが生ったら、それでジャム作るか」
ブルーベリーの苗木は、そこそこ大きくなっていたりする。たぶん、人工池の排水のおかげもあってなのか、あの辺は水や土の精霊たちの力が効いているみたい。実が生るのも、もうすぐだと思う。
それに、びわやはっさくでもジャムは作れるだろう。あっちは土地を浄化しながらだから、すぐに実が生ってくれるかは微妙か。でも、あそこも精霊たちは頑張ってくれているし。
「……そういえば、あっちの世界特有の果物って食べたことないかも」
ふっと、そんなことが頭をよぎる。
あちらで暮らして半年以上になるけれど、あっちの世界の在来の食べ物って、魔物の肉くらい。あの山の中で育てて食べているのは、元々がこっちのモノだし。
薪のための伐採や道を作ったりしている間に、食べられるモノを探すなんて余裕もなかった。
「ちょっと、戻ったらもう少し周辺を見て回らないとじゃない?」
なんかやることいっぱいあるなぁ、と思いながら、他に植えられそうな果樹がないか探し出すのであった。





