第124話 苗の結果、ノワールとの外出
結果として、びわとはっさく、オレンジの種から生えてきた苗には浄化の機能がついていた。アボカドの方は、普通にアボカドの苗になってる。何が違うのか。
「……一旦丸ごと食べてから、口から種を出したくらい?」
さすがに、アボカドの種ごと丸ごと食べるのはちょっと、なので、アボカドは断念する。いや、普通に、ここの敷地で育ててみるけどね。四隅は埋まっているので、ログハウスの正面の柵の真ん中あたりに植えてみた。無事に大きくなってくれることを祈る。
びわやはっさく、オレンジの苗は、まだ5cmくらいの高さしかないので(それだって、十分に早いんだけど)、もう少し大きくなってから植え替えようと思う。
……それよりも、ハーブだ。
前回は地植えが全滅になったので、今回は素焼きの鉢に植え替えて、それを地面に埋めて見ることにしたのだ。
ログハウス脇の畑の土を、鉢に入れて、そこに買ってきたハーブを植え替える。2株ずつ買ってきたけれど、万が一もあるので1株は黒ポットに植えたままのものを残しておく。
でも、『整地』の確認もしたいのだ。
――本当に『整地』した土地であれば、植物が育つのか。
後で浄化機能のある苗を植えるにしても、ちゃんと根付くようにしたい。
ミント、オレガノ、タイム、レモンバーム、ローズマリーの中から、ローズマリーを選んで持っていくことにした。
『さつき~、きょうもおでかけ~?』
普段はほとんどログハウスでお昼寝しているノワールが、今日は私の足にまとわりついている。
まだ空を飛べないノワールは、部屋の中をトテトテと四つ足で歩いている。その姿は、なかなかかわいい。
「そう、ちょっとハーブを植えに行ってくるわ」
『……いっしょにいっちゃ、だめ~?』
下から見上げてくるつぶらな瞳。ミ〇ラの愛嬌がにじむその姿に、簡単に陥落。
「はぁ……じゃあ、リュックに入っててくれる? さすがに両手はあけておきたいから」
『やったぁ~』
そういって喜んだノワールは、自分用のリュックをいそいそと咥えて、靴を履いている私のところにやってきた。
「はい、じゃあ、入って」
『は~い』
正直、すでにかなりの重さになっているノワール。しかし、世のお母さん方は、これくらいの赤ん坊を抱えて歩いてる……いや、ベビーカーがあるか。さすがに、ベビーカーはなぁ。
体力増強だと思って、ノワールを背負って、立ち枯れの拠点へと向かう。スーパーカブで向かいたいところなのだけれど、新たに作った道は、まだ地面が柔らかい。もう少し、踏みしめるとかして固くなってからじゃないと、車輪で轍が出来てしまう。ここも、また、土を固めるのを買ってこないとダメだろうか。
「着いた~」
汗だらだらになりながら、簡易小屋の前に立つ。
私が歩いている間、ノワールは大人しくしていて、びっくり。初めてログハウスから出て、そのうえ敷地からも出たからか、周囲の景色に夢中だった模様。頭だけリュックから出して見ていたようだ。
そういえば、精霊たちも静かだった。これはやっぱり、ノワールのせいなんだろうか。いつもなら近くにいるビャクヤたちの姿もない。
「これ、魔物とかは寄ってこないってことよね……でも、人とかってどうなんだ? 私は全然何ともないんだけど……」
また稲荷さんに聞いとかないと。この調子だと、街探しにもついてきそうだしね。





