第123話 浄化する果樹
今日は、もう一度ハーブの苗を買いにホームセンターに来てみた。
繫殖力の強さを信じて、まさかの全滅になるとは思いもしなかったからだ。今回はまた同じこともあったら、と思い、2株ずつ買うことにした。
今回も、ミント、オレガノ、タイム、レモンバーム、ローズマリー。カゴに苗を入れ、ついでに大きめの素焼きの鉢も買ってみた。今度は直接植えるのではなく、この鉢ごと地面に入れてみようと思うのだ。土は、念のため、ログハウスの敷地の土にして様子を見るつもりだ。
ついでに他に面白そうな苗木がないか、見て歩く。できるのだったら、あの瘴気の土を『整地』以外で、なんとかするようなモノはないだろうか。
こっちの植物は、あちらでも育つことは育つけど、今のところは、特別な能力があるわけでもないし……。
「あっ」
果樹の苗木のコーナーで、柿の木の苗木を見て、思い出した。
ログハウスの敷地にある、梅と柿、桜には、『結界機能』と『浄化機能』がついてたじゃないか。あれは、私が口にした種を植えたヤツだった。残念ながら『ヒロゲルクン』で植えることのできる果樹には、その機能はなかった。
だったら、種のある果樹を、同じように苗にして育てたら。
「浄化してくれるんじゃない?」
そう思ったら、さっさとここでの買い物を終わらせて、種のある果物を探しにスーパーに向かった私。
木になる果物はないかと探したところ……最初に目に入ったのがアボカドだった。だって、スーパーの野菜コーナーで山積みになっているのだもの。
「果物ではないけど……これも木に生るヤツよね」
実に入っている種は1つしかないけど、ちょっと試してみてもいいかもしれない。
「あとは……うん? びわ?」
これは、ちょっとお高めだ。しかし、確か種は複数あったはず。これなら、苗木を増やすこともできるかも。実が生ったら、ジャムにしてもいいし……浄化機能付きだったら、だけど。
あとははっさくやオレンジなんかもある。これ、種入ってるんだろうか。
「無くても、買って帰ってもいいしね」
果物の他にも、ノワール用の牛乳、念のために粉ミルクなんかも買ってみる。これ飲んでくれたら、だいぶ楽なんだけど。
ハムやソーセージ、チーズも数種類、ツナ缶やオイルサーディンの缶詰、それにビールやチューハイも買って……飲んべぇみたいな買い物になってるけれど、気にしない。
「あ、もう少ししたら暑くなるもんね……やっぱり、ポータブルでも冷蔵庫買った方がいいかな」
貯蔵庫も確かにひんやりしてて、保存にはいいけれど、この夏がどうなるのか、予想がつかない。
「あのポータブル電源だけじゃ、足りないかも」
どうしたものか、と思いながら、レジに並ぶ私なのであった。





