第118話 立ち枯れの場所を整地する
その日はなんだか疲れてしまったので、簡単な食事だけ済ませると、そのまま小屋で寝袋に入って寝てしまった。
翌朝は、ひんやりした空気の中、コーヒーとパンケーキに苺のジャムをたっぷりのせたのを食べた。まだ市販のジャムだけれど、そのうち、自分でジャムを作りたいな、と思った。
そういえば、ブルーベリーの苗木はすっかり大きくなっているけれど、ちゃんと実を生らせてくれるだろうか。それと、苺も育ててみたい。テレビでよく見る、苺の食べ放題のように、高い位置で育てるようなのを、私でも作れたらいいんだけれど。
食事を終えて、敷地を見る。水はもう溢れてはいないので、昨日濡れていたところは、もう乾いている。ふと、目の前で寝ている2匹に目を向ける。
「ハク、ユキ」
『なぁに?』
『どうしたの?』
今日はこの2匹だけだ。ビャクヤは昨夜のうちに、シロタエの元に帰っていった。さすがに妊婦を残しているのは不安なんだろう。
「ここ、線を引くから、そこを貴方たちの足で、溝を掘ることできる?」
『みぞ?』
『あなほり?』
「そうそう、あんまり深くなくていいんだけど、できるかな」
いやはや、子供は凄いね。
遊び半分な雰囲気で頼んでみたら、猛スピードでホリホリしてくれること。深さは20cmくらい。正直、あまり綺麗な感じではないけれど、私が枝で書いた細い線に合わせて、ちゃんと穴掘りしてくれた。線の先は、柵の反対側の出口の方まで。そこから先は……まぁ、水流にのって削られていけば、そのうち、それっぽくなるでしょ。あの排水口の流れのように。
「お~、きれいに引けたね……じゃあ、水の精霊さん、少しずつ流して下さいな~」
私の言葉に合わせたように、ちょろちょろっと、水路に水が流れ出した。
「おおおっ! 精霊に言葉が通じてるっぽい~!」
その様子に感動しつつ、私はタブレットを取り出した。一応、この水路の両脇を『整地』する。この大きさであれば、それほどKPを使わずに済むはず。『整地』したい範囲を指定して。
「ぽちっとな」
ぽぽぽぽんっと地面がならされて、凸凹が綺麗になくなった。満足、満足。水路を挟んで両サイドがきちんと平らになってくれた。切り株を『収納』したことでできた穴も、ちゃんと埋まってる。後は、もう少し踏み固めれば、だいぶマシになるはず。
『すごーい!』
『でこぼこがなーい!』
「ちょ、ちょっと、ハク! ユキ!」
目の前で、平らな地面に変わったことに興奮しだした2匹。
そう言って喜んで走り回ったら、また凸凹になるんだけどっ!
「もうっ! 落ち着きなさーいっ!」
夢中になっている2匹には、私の言葉は届かなかった模様。
後で、迎えに来たビャクヤに叱られた2匹なのだった。





