第114話 果樹を植える、山頂を目指す
あれから、排水口から溢れる水沿いに、果樹用の敷地を作った。なにせ、ログハウスの柵に苗を並べていたら、どんどんとデカくなるんだもの、慌ててしまった。気が付けば、私の背に届きそうとか、どういうこと。買ってきた時のままの黒いポッドじゃ、窮屈でしょうがないはずだ。
……土の精霊、張り切りすぎ。
排水口の水の流れを挟んで2か所、斜面の木を『伐採』して、残った株は収納、『穴掘り』で土を掘り返し、『整地』して、ログハウスの敷地の半分……いや、三分の一程度の広さの果樹専用の敷地が出来た。
流れを挟んで湧き水側に、みかん・栗・梨・桑、トンネル側にブルーベリー、オリーブを植えた。
特にブルーベリーは2品種以上ないと実が生らないというのを後から知って、慌てて4株ほど追加で買ってきた。調べてみたら、挿し木でも増えるらしいので、上手くいったら、ブルーベリーだけの敷地を作ってもいいかも? なんて思った……いつになるかはわからないけど、たくさん実ったら、ジャムを作るのもいいかもしれない。
正直、それぞれの果樹の特性や育つ条件があるんだろうけれど、今回は試験的に、土の精霊頼みで育ててみる。上手くいったらラッキーだ。
バラの苗木はトンネル側の出入り口に植えてみた。
こっちもかなり育つのが早く、小さな苗木だったはずが、私の腰の高さくらいまで育っててびっくり。蕾もぷっくりと膨らんできていて、いつ咲いてもおかしくはない。こっちも、綺麗に咲くようだったら、同じバラの苗木を買ってきて、バラの道を作ってもいいかもしれない。
すっかり暖かくなってきたところで、私は再び、ビャクヤの背に乗って山頂の方へと向かった。反対側の斜面を確認をするためだ。前に見たときは、悲しいくらいの裸状態だったけれど、今はどうなっているのか心配だったのだ。
もう暖かくなったので、山頂の彼らの巣に戻るのかなと思ったのだが、やっぱり妊婦であるシロタエのことを考えて、まだうちの厩舎で生活することにしたらしい。特に生まれたばかりの赤ちゃんの安全を考えたら、うちにいるのが一番なのだとか。確かに結界張ってるわけだしね。
ちなみに、今日はシロタエは厩舎でじっとしている。そろそろいつ生まれてもおかしくないらしい。ハクとユキは、せっせとシロタエのために食べ物を獲りに行っている。
なので、今日のお供はビャクヤだけだ。
「うわわわわあっ」
凄いスピードで山の斜面を駆け上っていくビャクヤ。
なんとかしがみついているけれど、これ、落ちたら一巻の終わりなんじゃないのっ!?
「び、ビャクヤッ、もうちょっと、スピード」
『あ、遅かったですか、では』
「ち、ちがうぅぅぅっ! 落として、もうちょっと、スピード、落としてぇぇぇぇっ!」
緑が濃くなりつつある山の中に、私の叫び声が響き渡った。





