第113話 ホームセンターに行く、稲荷に相談する
気合を入れた私は、翌日にはさっそくホームセンターに、苗木を見に行った。
念のため、古龍の卵には、帰ってくるんだから雪とかやめてね、と告げていく。これが効果があるのかは微妙だけど、何事も、やらないよりはやっておこう、という程度。
ホームセンターには色んな種類の苗木があったけれど、種類によってはかなりのお値段になるものもあって、迷うところ。
普通に果物としてあったらいいなぁ、というのは、みかんとかの柑橘類。それに、梨とかもいいな。洋ナシとかラフランスとか……考えただけで、涎がでそうだけど、あの土地でちゃんと育つのか……精霊たちが頑張ってくれたら、育ちそうな気もする。
結局、みかん、栗、梨、桑、ブルーベリー、オリーブの苗木を1本ずつ買ってみた。あちらの環境でどう育つのか、予想できないけれど、とりあえず敷地内で様子を見ることにする。後で、果樹専用の敷地も用意しよう。果物狩りとか出来たらいいな。
それと、バラの苗木を買ってしまった。それも3つも。まだ蕾もない苗木なんだけれど、見本となる画像に、心惹かれてしまったのだ。
1つ目は周囲が白、中になるほど黄色になるもの、2つ目周りが濃いピンクで中心が白、そして最後のが綺麗なサーモンピンク。どこに植えるんだ、と自分でも内心突っ込んだけど、買いたくなったのなら、買うしかないじゃない?
それに、土を固める砂を5袋ほど買ってみた。これで、排水口周辺の道を固めることができるのか、試してみる。これも土の精霊とかにお願いしたら、効きめがよかったりしないだろうか。要確認である。
帰り際に、キャンプ場の管理小屋に寄って、稲荷さんに中古のバイクとかないか聞いてみた。さすがに、管理小屋にはないとのことだったけれど、知り合いにバイク好きな人がいるそうなので、その人に聞いてくれるらしい。
……それは、普通に人間なんだろうか。
そんなことを考えたのが伝わったのか、稲荷さんが笑いながら、キャンプ場の常連さんだと教えてくれた。
「あっちでバイクで旅でもするのかい?」
「あー、そうですね。軽自動車じゃ、石とかで傷だらけになりそうなんで」
「まぁねぇ。でも、バイクって250ccの?」
「いや、自動二輪の免許はないんで、50ccので」
「なるほど。まぁ、聞いてみるだけ聞いてみますよ」
あの平野をスクーターで走ったとしても、シュールな絵面になるだろうなぁ……。
ついでにまた猪肉と鹿肉を分けてもらった。最近は、ビャクヤたちから角うさぎを分けてもらうことが増えたので(暖かくなったせいで、頻繁に見かけるようになったらしい)、猪肉たちはほぼ貯蔵庫行きになってたりする。真空パックされて長持ちするからいいんだけど。
「あ、今日は雪じゃない」
トンネルを抜けたところで待ち構えていたのは、しとしとと降る雨だった。
雪で戻れないより、だいぶマシだ。
敷地に着くころには、やっぱり雨は止んで、夕焼けで空が赤く染まっていた。





