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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
春の異世界を楽しんでみる

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第111話 道の整備

 地道にKPを貯めるために、私は必死に草刈りをすることにした。特に背後の山の斜面あたり。夏になったら虫とか出そうだし、今のうちから少しでも刈っておいた方がいい気がしたのだ。

 それと、柵の排水口周辺から川へ向かう道を整備することにした。『伐採』と『整地』を繰り返した結果、だいぶ歩きやすい道にはなった気がする。

 ただ、雨が降ったりすると、水が溢れてぬかるみになりそうなので、『収納』の中にあった大きめの石を並べることにした。数は多くないので、途中までしかできなかった。今度、ビャクヤたちにでも山頂の方に連れて行ってもらって、転がっている石を持って帰ってこよう。

 それに合わせて、ぬかるみを抑える土を買ってきたほうがよさそうだと思った。別に車を通すわけではないので、道幅はそんなに大きくはないし、そんなに大量にはならない……わけがないか。一袋でどれくらいになるのか、一度試した方がいいかもしれない。


 気が付けば、敷地内の四隅にあった果樹がかなり大きくなっていた。桜の木などにはすでにピンクの蕾すらある。一応、湧き水側の道沿いの桜の木は、まだそれほど大きくはなっていない。せいぜい私の背丈と同じくらい。それでも、ポツポツと蕾があるので、咲き始めたら道沿いがきれいなピンク色になるのを期待したい。


「まぁ、まだ、桜並木とは言い難いけど」


 今日はゆっくりと周囲を確認しながら山道を下りていく。ガランガランとカウベルが鳴る。静かな山の中だけに、かなりうるさく感じる。

 この道も整地した状態だけれど、私もビャクヤたちもまだそれほど歩いていないので、まだ地面が柔らかい気がする。ここにも砂利なり、地面を固める土なりを撒いた方がいいのだろうか。

 山道を下りきると、私は森の中の道を作っていく。タブレットで確認すると、すでにその範囲から出てしまっていた。ここから先は、目視でできるだけ前に進むしかない。

 草刈りをしながら『伐採』をして、どんどんと進んでいく。草刈機の音に紛れるカウベルの音。これだけうるさければ、シロタエがいなくても動物は寄ってこないはずだ。

 やっと森の外れに来たのか、うっすらと前方が明るくなっている。

 もうすぐだ、と思ったら気持ちが逸る。

 森の木々がきれた。

 

「おお~」


 目の前には、少し緑の草が生えだした平野が広がっている。排水口が流れ込んでいると思われる川は……左手の少し離れた所に見えた。

 草刈機を地面に置いて、川の方を眺める。はるか先の空は少し靄っていて、町の影すら見えない。


「あの川、どこに向かってるのかな」


 もしかしたら、この川沿いにでも町があったりするんだろうか。

 まだ見えない町に、思わずワクワクする私なのであった。

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