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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
春の異世界を楽しんでみる

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第109話 再びの猛吹雪

 二次会の翌日。二日酔いの状態で電車に乗り込んだ私。最寄駅に着くころにはなんとか復活した。その駅から、駐車場に置きっぱなしにしていた軽自動車に乗り込む。

 キャンプ場を通過する頃には、すっかり日が傾いていて、ちょっとだけヤバいかな、と思った。

 なぜなら、買い出しの翌日に二次会の服を買いに行った時も、帰りに凄い雪になって困ったのだ。その時、一瞬、稲荷さんが言ってた古龍のことが頭をよぎったけれど、たまたまだろうって思ったんだけど。


「も、戻れるのか?」


 ログハウスに戻るトンネル出口で雪が思い切り積もっていてびっくり。その上、猛吹雪になってるし。これ、軽自動車で突っ込んだら、出られなくなる。とりあえず、軽自動車の車高並みに積もってる。

 今回もこの状態となると、完全に古龍じゃないか、と思ってしまう私。


「これじゃ、戻りたくても戻れないじゃんっ」


 思わず軽自動車のハンドルに突っ伏す。

 マジで除雪機が欲しい、って思った瞬間、『ヒロゲルクン』の『穴掘り』でいけるか? と思いつく。


「これで『穴掘り』しまくってレベルアップ~、みたいなことにならないかな」


 この前の貯蔵庫を作った時みたいに、徐々に『穴掘り』の範囲が広がれば、先々、使える機能になるんじゃないか、と。


「でも、雪を『収納』したら……これ一発で全部入っちゃったりして? いや、でもなぁ」


 もんもんと悩んでいるうちに、雪がおさまってきた。

 青みがかった空が見えた。やだ、星もキラッとかしてるじゃないか。


「マジで古龍だったら、ぶっ飛ばす」


 ……無理だろうけど、言いたくもなる。

 私は仕方なしに、タブレットを片手に軽自動車から降りてみる。念のために助手席にバッグを置いといて正解。


「めっちゃ寒っ!」


 すっかり春物のコートで出てきてたものだから、この雪の状態は超寒い!


「と、とりあえず、しゅ、『収納』」

『量が多いため、入りません』

「え」


 そういえば、私の『収納』には、すでに木材とか草刈りのゴミとかが残ってた。でも、それでもかなり『収納』のスペースは広くなってたはずなんだけど。

 ふと視界に入る雪景色。当然、道だけではなく、周辺の斜面にもあるわけで。


「……まさか、この雪全部を『収納』しようとしたんじゃ」


 これ全部だったら、確かに入りきらないだろう。そういえば『収納』には範囲指定はなかった。やっぱり地道に『穴掘り』なのか!


「めっちゃ、ムカつく~!」


 思い切り叫んだ後、ため息をついてから、タブレットに目を向け、『穴掘り』実行。

 地道に掘り進んで、10mも進んだろうか。こんなんじゃ、家にいつになったら辿り着くんだ……と思っていたら。


『さつき~!』

『おかえり~!』


 なんと、雪の上をハクとユキが猛ダッシュでやってきて、飛び降りてきた。思わず、雪塗れだけどギュッと抱きついてしまう。


「ただいま~」


 ああ、癒される~。


『どうしたの~? はやく、かえろう?』


 不思議そうに聞くユキ。


「う、うん。ちょっと、この雪で車が通れないのよ」

『そいつ、だめだなぁ』

『だめねぇ』


 いや、これ、生き物じゃないからね?


『さつき、のせていこうか?』

「いやいや、まだハクには無理だよ」

『むぅ、おれ、もうおおきいぞっ』


 いや、君、まだピレネー犬サイズでしょうが。ちょっとは大きくはなったけどさ。


『ハク、お前ではまだ無理だ』


 気が付けばビャクヤまでやってきていた。相変わらず、デカい。シロタエもデカいんだけど、ビャクヤの方が少しデカい。


『この雪をどかせばいいのですよね』

「あ、うん……もしかして、風の魔法でどかせたり?」

『お任せください』


 ニヤリと笑うビャクヤ。狼なのに、カッコいいって思ってしまった。

 その後、一瞬で雪が吹き飛ばされて、ログハウスまでの道が現れた。

 さすがである。


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