第107話 買ってきた物と二次会の準備
ログハウスに戻るためにトンネルを抜けた途端、猛吹雪に見舞われた。
「え、なんでっ!? 家出るとき、天気よかったのに!?」
慌ててワイパーを動かす。目の前が真っ白すぎて、スピードを出す勇気はない。
一応、ヘッドライトもつけながら進んで行くと、徐々に雪がおさまってきた。ログハウスの敷地に入るころにはすっかり雪も止んで、夕日で赤く染まっている。
「こっちの天気も読めないなぁ」
私はログハウスの前に車を止めると、玄関のドアを開けて荷物を置いていく。
消費の早そうな食料品の他、洗剤やティッシュ、トイレットペーパーなどの消耗品などを、どんどん置いていく。それと新たに買ったのは足の低いテーブル。これは自分で組み立てるタイプ。そろそろ、キャンプ用のミニテーブルから卒業したかったのだ。
そして、長持ちしそうな物、稲荷さんが分けてくれた真空パックしたジビエの肉や、アルコール類は貯蔵庫へしまいこむ。最近はハクたちが獲ってくる角うさぎをシチューなどの煮込み料理にするのがマイブームになりつつあるので、それに合わせて、普段はあまり飲まない赤ワインを多めに買いこんだのだ。
大量に買いこんだガーデンライトは、道具類を置いている小屋に箱ごと置いておく。これは明日以降にでも天気がよければ、少しずつやっていくつもり。
最後に竹籠を取り出し、暖炉のそばに置いている古龍の卵をブランケットごと抱き上げ、竹籠に入れた。うん、悪くない。思わず、いいこいいこと撫でてやる。卵だから何の反応もないけど、なんとなく、ご機嫌がいいように感じるのは気のせいだろうか。
「それにしても二次会が1週間後とか……それも泊りがけだよなぁ」
竹籠の持ち手を持って、2階の寝室へ向かう。
前のマンションだったら電車で移動しても30分ちょっとで行けたけれど、さすがに軽自動車で日帰りできる距離ではない。
「とりあえず、ホテルの予約と……着ていく服がない」
寝室にあるのは、洋服の入っている白い半透明のプラスチックケース。そこに突っ込めるようなラフな服しか入っていない。山に籠る時点で、フォーマルな服のような余計な物は捨てるなり、売るなりしてしまってる。靴もそうだ。
それに、しばらく美容室にも行っていないから、髪もぼさぼさ。前髪くらいは自分で切ってはいるけれど、後ろはすっかり肩より長くなってる。一応、ゴムで一つにまとめてはいるけれど。
私は、化粧品をまとめて入れているポーチの中を確認する。
「化粧品もなぁ……ベースになるのしかないし」
化粧水に乳液、アイブロウペンシルに、色付きのリップクリームくらい。今更、濃い目の化粧をする気もおきないが……二次会なんて、ある程度の化粧をしてないと、逆に浮きそうだ。
「化粧品は最悪スーパーでも買えるけど、この辺にそれなりの洋服と靴を売ってる店ないし……また、遠出しないとかなぁ」
少しだけ、二次会に行くのが、億劫な気分になった。





