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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
冬から春にかけての生活

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第103話 植林作業と、やっぱりお馬鹿な自分

 排水口周辺の木々を『伐採』したおかげか、敷地の日当たりが少しだけよくなった。やっぱり、あの辺だけ木がだいぶ大きくなっていたようだ。

 そして、湧き水側の道に、桜の木を植えることにした。

 やっぱり、桜並木、というのは日本人の心の風景みたいなものだし。

 だいたい10m間隔で桜の苗木を植えてみた。念のため『鑑定』してみたが、この桜の苗木自体には結界の機能はついていないものの、魔除けのような力がある模様。

 そして、草刈りが中途半端に終わっている所までたどり着くのに、2日半ほどかかった。その間に、敷地近くの苗木から順に、目に見えてじわじわと成長しているという。『精霊さん、お願いします』と呟きながら植えたおかげだろうか。うーん、異世界クオリティ。

 このまま順調に育てば、もしかしたら4月には桜の花が咲いたりして。


「どうせなら道を下まで通して、全部桜並木にしたいところなんだけど」


 今日は、シロタエは一緒ではない。少し気候が暖かくなったので、山頂の様子を子供たちと一緒に見に行っている。

 久々の一人で草刈りなので、腰にカウベルを下げてやってきた。静かな山の中だけに、歩くたびに、ガランガランと音が響く。


「そういえば、山の反対側、裸山状態になってたっけ」


 あそこも植林しなくちゃいけない。でも、どうせなら、果樹とかを多めに植えたりしたら、私だけじゃなく、動物たちとかの餌になったりするんだろうか。

 今苗木に出来るのは、りんご、桜、梅、柿の4種類。他にも、柑橘類だったり、ぶどうや梨みたいなのを植えられたりしないだろうか。

 そんなことを考えていると夢が膨らんでいく。


 気が付けば、草刈りの途中の場所に辿り着いていた。目の前の草ぼうぼう状態に、ため息をつきたくなるけれど、私は「気合いだ、気合いっ!」と声をあげ、タブレットの『収納』から草刈機を取り出した。


 集中すると、時間が進むのは、本当にあっという間だ。


「やばっ、もう暗くなってきてる」


 少しずつ日が伸びてきている気はしていても、まだまだ2月も半ばだ。

 私は慌ててタブレットを出して、草刈り機を『収納』する。


「こっから上り坂を戻るのかぁ」


 そう言いながら、タブレットをバッグにしまおうとして気が付いてしまった。


「あれ? 車、『収納』しとけばいいんじゃ」


 ずっと、Uターンできる場所がない、と思ってたけど、『収納』しとけば、出す場所を気にすればいいだけじゃん。なんでUターンにこだわっていたんだ!


 ――馬鹿だ。私。


 一つのことに集中すると、片手落ちになってしまうとは。毎回、なぜ気付かないのかということを見落としている自分に、頽れる私。

 

「あー、戻るのめんどくさいー!」


 思わず、大きな声で叫んでしまったのは、仕方がないと思う。

 諦めた私は、重い足を引きずりながら、ログハウスのある敷地まで頑張って歩いたのであった。

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