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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
冬から春にかけての生活

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第100話 精霊たちの分散方法

 久々にホワイトウルフの背に乗せてもらったわけだけれど、さすがシロタエ、ちゃんと乗り手に合わせて、ゆっくりと進んでくれる。ビャクヤに乗った時は、かなりのハイペースだったもんなぁ。ほんと、よく落ちなかったもんだ。


『五月様、この道の両脇に、敷地にある木々を植えたりはしませんの?』

「え?」


 そう言われて、道の両サイドへと目を向ける。

 ほとんどが針葉樹なのか、早春のこの時期でも、緑の葉を茂らせている。一応、広葉樹もあったけれど、近場にあったのは、軒並み、薪にしてしまった。おかげで、比較的日差しが入り込むようにはなってきたので、この道も、そこそこ明るい。


『いえね、この道沿いに、五月様が木々を植えられたら、精霊たちが喜んで、こちらにもやってくるのではないかと思いまして』

「そうなの?」

『実は、最近、敷地内が、精霊たちで溢れかえってまして。特に土の精霊なんですが……少しばかり、騒々しいんですよ』

「そ、そうなの!?」


 精霊の見えない私には、当然、彼らの声など聞こえない。でも、シロタエが騒々しいって感じるって、どんだけいっぱいいるんだろう。

 敷地の四隅に植えた桜、りんご、柿、桃の木が野菜たちほどではないものの、かなりのスピードで成長してたのは知っていたから、きっと土の精霊のおかげなのかなー、くらいには思ってた。


『五月様が野菜や木々の成長をお喜びになっている姿に、まぁ、なんというか調子に乗ってしまってましてねぇ』

「調子に……?」

『ええ。他にも手伝いたいと思っている者が新たにやってきては、喧嘩になってまして』


 そんな事実、初めて知ったよ。


「ご、ごめんよ~。え、彼らが喧嘩になってるって、騒々しい以外に何か問題ある?」

『いえ、それ以外は……(見えないから仕方がないとはいえ、まるでトビムシが群がるような状態になっているのは、気持ちのいいものじゃないのよねぇ……それに他の精霊たちもうじゃうじゃと……敷地内で埋まっている状態はねぇ……)』

「じゃ、じゃあ、何、私が植林すれば、少しは分散する?」

『そ、そうですね。あそこには他にも、水の精霊と、光の精霊が多くいまして……』

「あう……えーと、彼らはどうしたらいいんだろう」

『水のは、敷地内の池の辺りを少し広げてやってみては? 敷地から流れ出ている水も、すでに小さな川になりつつあります。この辺を整備してやったら、喜ぶのではないでしょうか』

「ふむふむ」


 たぶん、排水している水のことを言ってるんだろう。普通にそのまま地面に浸み込んでいるものだと思ってたけど、一度、ちゃんと確認したほうがいいかもしれない。


『光のは、あの夜に光っているアレが気に入っているようですし、アレを増やしてやってはどうでしょう?』

「ガーデンライトかぁ。あれは、あっちに行かないと手に入らないんだよねぇ」


 もうこの敷地には十分あるから、やっぱり、道沿いにあるのがいいんだろう。


「でも、そろそろ、キャンプ場の休業期間も終わるだろうし、その時にでも買い出しに行ってみるかな」

『とりあえず、道沿いに木を植えるあたりからやると、土だけではなく、水のも手伝いたがるかもしれませんよ』

「そうかな」

『ええ。何せ、水のは、わざわざ湧き水のところから移動してきたそうですから』

「そ、そうなのっ!?」


 私の知らない事実が、また一つ、暴かれたのであった。

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