第920話 久しぶりに買い出しに行こう(4)
食料品を爆買いするために向かったのは、いつもお世話になっているスーパー。
野菜売場から順に回っていく。
久しぶりの食料品の買い物は、やっぱりテンションがあがる。
あちらで育てていない野菜も当然ある。ブロッコリーにアスパラガス。これは買いだ。カートの中に入れていく。
「あ、タケノコだ」
地のモノなのか、かなり大きなタケノコが売っている。こちらで一人で生活していた時は、すでに加工されているのを買っていた。
「あく抜きとか面倒じゃないかなぁ」
すぐさまスマホで検索してみる。米ぬかがいるようだけれど、タブレットの『収納』に残っているかは微妙。
他に米のとぎ汁や米をひとつかみでもいけるというので、挑戦してみようか、という気になったので、大きいのを二つほど買うことにした。
「わー、山菜がいっぱい」
ふきのとう、タラの芽、ワラビ等が並んでいると、ああ、春なんだなぁ、と思う。
――今日の夜は、天ぷらにするのもいいな。
いそいそとこれもカートに載せていく。
「新玉ねぎだ」
あちらでも作ってはいたけれど、今、畑には植わっていない。
マリンがスモークサーモンを強請っていたので、マリネを作るつもりだったので、これも買いだ。
鮮魚の売場にやってくると、すぐに手を伸ばしたのはマグロの切り身。
「ああ、お久しぶりです。マグロ様!」
いそいそと切り身のパックを入れていく。それはもう、ガッツリと一気に5個ほど。
それはマグロだけではなく、ブリや鮭、カツオにタイと、嬉々として手あたり次第にカートに入れる姿は、他の人には怪しさ満点かもしれない。
――しかし! 魚を食べたいんだもの!
すでにカートのカゴはいっぱいになっている。他のはカートの下の荷台に載せきれるだろうか。
悩みながらカートを押していると、見つけてしまった。
――ハマグリ!
ハマグリも今が旬なのか、かなり大ぶりなものが入ったパックが並んでいる。
あちらで食べたことがあるのはダンジョン産の魔ガキくらいだから、余計に食べたくなるのも道理だと思う。
ハマグリの酒蒸し、お吸い物、粒が大きいからバター焼きにしてもいいかもしれない。
当然、ハマグリもカート行きだ。
「スモークサーモン、発見~」
マリンが喜んで食べている姿が目に浮かび、そこに並んでいたのを全部カートに載せた。
そばにいたおばさんがギョッとしていたけれど、関係ない。
私は鼻歌まじりにカートを押していく。山盛りのカートに、周りの視線が集中している自覚はあるけれど、気にせず進んで行く。私もずいぶんと図太くなったものだ。
お肉売場にやってきたけれど、食指は伸びない。
なにせ、エイデンが貢いでくる、あちらの高級なお肉に慣れてしまったから。ハムやベーコンも、村で作ってくれる物がある。
「あ、ソーセージ」
太いソーセージに手を伸ばす。
ソーセージだけは、あちらでの加工技術に不安があるので手を出しかねているのだ。やっぱり、安全性はこちらが一番。
――これでホットドッグを作るのはどうだろう。
大口を開けて食べているマリン、ノワール、エイデンの姿が頭に浮かんだら、買い一択だ。
となれば、このサイズが挟めるホットドッグ用のパンも買わないと。それに、マスタードも必須だ。
私は上機嫌でカートを押していくのであった。





