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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
初春から村は大忙し

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第902話 戻る前の一休み

 ケセラノの街から戻ってきて今日で三日目。

 外はいい天気だ。窓の外では洗濯物がヒラヒラ揺れている。風の精霊たちが遊んでいるようだ。

 私はログハウスのリビングで、コーヒーをいれて一息ついているところ。BGMはセバスのいびき。ノワールとマリンは、村に遊びに行っている。

 今回は、普通の旅行というのとは違って疲れることが多かったこともあって、昨日までは、だらだらとのんびり過ごしていた。

 今日はようやく動く気になったので、洗濯を終わらせた後、野営地に戻って紅葉を植える作業を続けるために食料の準備をしていた。

 パンを作ったり、おにぎりを作ったり。

 パンはちぎりパンを山ほど。

 おにぎりの具は、梅干しと異世界風鶏(?)そぼろ。鮭の代わりのラサロの焼き魚。残り少なかった昆布の佃煮も入れてしまった。あちら(日本)に行けるようになったら買い込んでこよう。

 そして大鍋で味噌汁とシチューも作った。

 味噌汁には豊作だった大根と大根の葉っぱ、シチューにはフォレストボアの塊肉を使った。フォレストボアは、この前の遠征でエイデンたちが山ほど狩ったのが貯まっていたのを消費した。まだ、残っている。これは、いつか消費しきれるのだろうか。

 すべて作ってタブレットの『収納』にしまったところで、休憩することにしたのだ。

 ボーっとしながら暖炉の火を見る。その周りを火の精霊たちが踊っている。人型の彼らを見ていると、野営地周辺で見かけた小さな光の玉の精霊たちが気になってくる。

 ちなみに、人型の子たちがいくつか抱えて、うちの山に連れてきている。どこに行ったかはわからないけれど、うちの山で少しは癒されてくれればいいな、と思う。 


 ――それにしても、いつ戻れるのかな。


 ネドリさんとガズゥは、結局、アブレウ伯爵家の人につかまって、そのまま残ることになった。

 馬車から見ていたけれど、伯爵家の人が土下座しながら縋りついていた。その姿を見て、ネドリさんだったら、そうするだろうなぁ、と思ったら、案の定だった。

 エイデンは私とガイシャさん、テオを馬車に乗せて村まで運んでくれたけれど、めんどくさそうにケセラノの街に戻って行った。


『実際に現場を見れば、嫌でも、現実を知るだろ』


 エイデン、凄く大人になったと思う。

 私としては、早く森に戻って、ユグドラシルの元まで紅葉を植える作業を進めたいのだけれど、運び手のエイデンが戻ってこないと、戻るに戻れない。


 ――そういえば、野営地まで戻るのに時間がかかったんだよな。


 ユグドラシルへ向かって行くにつれ、野営地から離れていくのは当然。この前は精霊王や精霊たちとおしゃべりしながら戻ったから距離が気にならなかったけれど、ある程度距離ができたら、新たな野営地を設置しないといけないだろう。

 材料となる木材はいくらでも手に入れられる場所なのは助かるけど。


 グガッ


 セバスが変ないびきをあげたので、思わずクスリと笑ってしまう。

 今回はお留守番をしていたノワールとマリンは、次に作業に行く時は一緒に行くと言っている。彼らが来たら、精霊たちとはまた違った賑やかな場所になりそうだ。

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