第894話 光の玉を救え
うっすら光る玉たちを手に、私は野営地へと駆け戻る。元気な精霊たちも、光の玉を抱えて追いかけてくる。
出しっぱなしにしていた折り畳みテーブルの上に、光の玉を置く。今にも消えそうだった光の玉たちだったけれど、野営地に入って少し盛り返したように見える。
――水の精霊なんだから、やっぱり、水がそばにあったほうがいいよね。
私はタブレットの『収納』から、少し深めの紙皿を出し、ストックしていた水のペットボトルを出す。これの中身は、ログハウスのある山の湧き水だ。
「お、自分で行ける?」
光の玉が必死に自力で浮こうとしている姿に、両手を握って応援する。
『がんばれ~』
『もうすこしだ~』
ぽちょん
「よしっ!」
『やった!』
『いぇーい!』
ハイタッチしている精霊たちにニヤッとした私は、再び、野営地を飛び出す。
湿地帯に到着する手前で、再び水の精霊が光の玉を抱えてきた。
「あと、どれくらい」
『もういっかいいけば、なんとか』
「え、そんなに少ないの!?」
ログハウスでの精霊たちの多さを見ているだけに、あまりにも少ないことに声をあげる。
『……まにあわなかったこもいたんだ』
悔しそうな水の精霊。私も顔がくしゃりとなる。
「わかった。この子たちは貰ってくね」
『うんっ』
水の精霊がピューンと飛んで行くのと入れ違いに、今度は土の精霊も水の光の玉ほどではないけれど、弱っている子をいくつか抱えて飛んで行く。
――何やってくれちゃってるのよ!
私は怒りでカッカしながら、土の精霊たちの後を追いかけ野営地に戻ってみると。
『サツキ、すまんな』
いつの間にやってきたのか、そこには風の精霊王様が厳しい顔で立っていた。
「精霊王様!」
『お前のおかげで、この子らも息を吹き返したようだ』
精霊王様の周りを飛び交うのは、風の精霊の光の玉。
「あの、他の精霊王様たちは」
あの激しい爆発音の後だけに、精霊王様に聞いてみると、ニッコリと笑うだけ。
――これは、聞いてはダメなやーつ!
私も笑顔を張り付けて、手にしていた光の玉を深皿へと落としてやる。
『うむ、十分に力のある水だな。もしや、これは山のじいさんのか』
「はい。これが一番、いいかなって思って」
『(サツキがそばにいてやるだけでも十分だとは思うが)時より撫でてやるといい』
「あ、はい」
私が指先を消えかけの光の玉へと伸ばすと、じわじわと光の玉の輪郭がハッキリしてきた。
「ほぉ~!」
『やはりな』
「他の子たちもおいで~!」
私の声に、精霊たちが集まったのは言うまでもない。
今日は短めですみません。
疲れがでたのか、体調を崩してしまいました。
状況次第では月曜日の更新も厳しいかもしれません。
取り急ぎ、お知らせまで。





