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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
冬から春にかけての生活

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第93話 猛吹雪の原因

「あー、これは、イグノス様には教えなくていいと言われてたんですけどねぇ」


 まいったなぁ、と呟くと、稲荷さんが語り始めた。


 ――なんと、私の前世がこの世界の『聖女』だったというのだ。


 ファンタジーかよ、と内心、一人で突っ込むけど、そもそも、ここ異世界だし。

 そして、こちらで死んだ聖女を、イグノス様自身があえて私を日本のあるあちらの世界へと転生させたのだとか。こっちで何かあったのだろうか、と、私でも勘ぐってしまう。

 そして、なんと、古龍は私の前世での親友だったらしい。


「古龍が親友……?」

「まぁ、詳しいことは私も存じませんので、古龍が会いに来たら話でもしてやってください」

「え? 古龍がここに!?」

「ええ。たぶん。あの卵、望月様の居場所を確認するために渡したんだと思うんで」


 まさかの卵のGPS!?


「まったく、すぐに渡さなかったからって、あんな猛吹雪を起こすとか、酷いと思いませんか?」


 ……は?


「え、あの猛吹雪って、古龍のせい?」

「そうですよ。古龍は北の山で眠ってたんですけど、年末に行ったときには、もう目覚めてましてね。まぁ、不貞寝してたのを、無理やり起こしたんですけど」

「なんで、寝てたのを起こしたんです!?」

「いやぁ。元々、古龍の眠りは聖女が戻ってくるまでっていう縛りがありましてね」

「……まさか、私が山を買ったから?」

「あは。まぁ、そういうことになりますかね」


 ちょ、ちょっと、何、軽く言っちゃってるの!?

 私が山を買わなきゃ、こんな悪天候にならなかったってこと!? 


「古龍が起きちゃったら、大丈夫なんですか! この世界とか! 襲ってこない!?」

「大丈夫ですよぉ。本来、古龍は穏やかな性格らしいですし(聖女が亡くなった時はそうでもなかったようですが)。ほら、外の天気もすっかりよくなっちゃってるじゃないですか」

「それが何か」

「卵が望月様の元に届いたのがわかったんで、落ち着いたんでしょうよ。まったく、長命種のくせに、せっかちなんだから」


 私が原因、っていう訳ではないみたい。というか。


「……それって、稲荷さんがずっと卵持ってたからなんじゃ」

「えー。ずっと、なんて、たかだか2週間程度じゃないですか?」

「いやいやいや! こんな悪天候になるんだったら、もっと早くに持って来ましょうよ!?」

「だって、そんなの南の島にバカンスに行ってたから、知りませんがな」


 こっちは雪に閉じ込められてたっていうのに、稲荷さんはのんきにバカンスですと!?


「あ、そうそう。望月様、お芋さん、まだ少しあります? うちの嫁が、美味しい美味しい言ってましてね」

「稲荷さんっ!」


 あまりの呑気さに、思わず怒鳴った私なのであった。

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