表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
プロローグ
1/940

第0話

 すっかり木々の色が紅葉でカラフルに変わっている。秋晴れに恵まれた今日は、まさにソロキャン日和だ。

 ガタガタと舗装されていない道を、中古で買った軽自動車で登っていく。

 行き止まりの少し開けた場所に出る。周囲を木々に囲まれてはいるものの、開けたところは、ある程度整地されている。

 私は車から降りると、思い切り背伸びした。

 やっぱり、都会なんかより、空気が美味しい。


「よーし、まずはテント、テント」


 鼻歌を歌いながら、一人用のドーム型テントを張る私、望月五月もちづきさつき。27才。

 私は、何回かのソロキャンプを経て、ついには山を買うことにした。

 唐突過ぎる、極端すぎる、会社を辞めてまで!? と、会社の同僚からは言われたけれど、そこに至るまでには色々あったわけで。

 それに、少しだけ、本当に少しだけ、興味はあった。


 ――山奥での一人暮らし。


 まさか、本当に自分でもやり始めるとは思わなかったけれど。


 テントの上にフライシートを張る。これで多少の雨なら大丈夫でしょ。この天気だと、雨なんか降りそうもないけど。

 テントの中にウレタンの凸凹マットを敷いて、その上に寝袋を広げる。これなら地面の凸凹は関係なくなるはず。

 あとは、折り畳みの椅子と、食料を入れた大きめのクーラーボックスをテントの入口に置いて、と。

 私は軽自動車から、キャンプ道具を一通り降ろしていく。

 山奥のおかげで都会ほどの残暑はないものの、額にじっとりと汗が滲んでいく。

 お気に入りのLEDのランタンをテントの脇に下げる。まだ、日は高いから、点ける必要はないけれど、気分は大事だ。


「さてと、今日は少し土地を広げて整地しないと。ああ、薪も作らないとじゃん」


 私は軽自動車の助手席に置いておいた大き目のリュックから、タブレットを取り出す。


 何がびっくりって、このタブレットだ。

 何度も夢じゃないかと頬をつねった。だけど、実際に使ってみて、目の前で起きることを理解したら、現実なのね、と納得せざるを得なかった。

 ただし、この山の場所でないと使えない。

 ……なにせ、ここは異世界だから。


 電源を入れると、画面にはアプリのアイコンが2つ。


 1つは緑をベースカラーにした『ヒロゲルクン』。

 もう1つは茶色をベースカラーにした『タテルクン』。


「まずは、『ヒロゲルクン』で地図を開いて、っと」


 目の前にはいくつかのメニューが表示された。

 これから始まる、魔法の時間に、私は今からワクワクしている。

 私がこのタブレットと、山を手に入れることになったキッカケは、今から半年前まで遡ることになる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GAノベルより 5巻 2月15日発売

『山、買いました5 ~異世界暮らしも悪くない~』

山、買いました 5



cont_access.php?citi_cont_id=731729576&size=300
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ