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八百屋ファンタジー  作者: あらうさ(´Å`)
第四章 魔王討伐編
37/40

第37話 蛍の一日

ほたる視点。


「つ、疲れましたあ~」


 蛍はヤオと一緒にヤマタイ国の王都を歩いていた。ミミは昼寝、ハイドラは魔道具作りで留守番だ。


「お前体力無いな」

「皆さんが有り過ぎるんです!」


 午前中は蛍はミミと実践訓練だ。すばしっこいミミを追いかけるだけでも体力は消耗する。たまに3対1でやる時もあるがもっと消耗する。


「だいたいヤオさんたちってどのくらい体力あるんですか?ちょっと冒険者カード見せてください!」


 私はヤオの手から冒険者カードをひったくる。以前、迷宮に潜るために作ったカードだ。


「え?何ですかこれ?レベルに対してステータスが高すぎませんか!?」

「そうか?」


 ヤオのレベルは中堅冒険者のそれだ。しかし異様にステータスが高い。


「ちょっと履歴見せてもらいますね。えーと『レベルアップ。食事によるステータス上昇ボーナス』が30項目」


 ?


 私は首をかしげる。

 ヤオが補足する。


「ああ。異世界野菜料理の効能だろう。異世界野菜を食うと元気がもりもり出るんだ」


 私は目を丸くする。


「え?という事はヤオさん達と一緒に食事をして修行するだけでもりもり強くなれるんですか?」

「そういう事になるな」


 蛍は手を組み祈る。


「ああ、この世界に来て碌なこと無かったけどようやく私にも脚光が!有り難う神様!」

「でもそのステータスでヤマタノオロチに全滅しかけたけどな」

「そんなに上手くいかないですよね・・・」


 私はしゅん、とする。


「ま、ステータスが高くて悪くなる事は無いからな。また明日から修行だ」

「はい、ヤオ師匠!」


 そんな感じに道を歩いていると前の方から騒ぎが聞こえた。近寄るとガラの悪いゴロツキどもが女を羽交い絞めにしている。


「おら、いい加減諦めねえか!」

「誰か、誰か助けて!」


 女が助けを求めるとも道行く人は遠回りに眺めてるだけだ。


「何で!誰も!助けないんだ!」


 蛍がゴロツキどもに突っ込んでいく。

 ヤオはため息をつく。


 蛍がその信念の赴くままゴロツキ達を一掃する。


「大丈夫ですか!?」


 蛍が女に駆け寄る。


「あ、有り難うございます!」

「一体どうしたんですか?」

「そ、それは・・・」


 女は言いよどむ。


「その女はなあ・・・借金持ちなんだよ!」


 ゴロツキ達がふらふらと立ち上がる。


「お姉ちゃんが代わりに払ってくれんのか?」

「ちなみにお幾ら?」


 蛍は聞く。ゴロツキ達は金額を述べる。


「そ、そんなに!?」

「さあ分かったらその女をこちらに寄こしな。女郎に連れてく大事な商品だからな」


 それまで黙ってたヤオが前に出る。


「その金額になるには金利がかなり無いと駄目だな。金利はいくらだ?」


 ゴロツキどもは言いよどむ。


「ヤマタイ国の法律では法定以上の金利を取った借金は無効だ。つまりお前らはその女を開放しなきゃならない」


 ゴロツキ達は一斉にヤオに襲い掛かる。


 ヤオは数十秒で全員を叩き伏せる。

 蛍は見入っていた。これが――八百屋。


 ヤオは女に近づき、


「そのゴロツキ達の事務所を教えてくれないか?借用書を破棄するから」


 女は有り難うと泣き崩れた。


 その後ゴロツキの事務所に殴り込みをかけほとんどの借用書を破棄させた。

 途中、用心棒の先生らしき人物が出てきたが蛍が聖剣エクスカリハーで剣をへし折ったら泣き崩れた。

 その帰り道。


「なんだかんだ言ってヤオ師匠も甘いですよね」

「お前はもう少し考えて動けよ。もし違法金融じゃなきゃどうするつもりだったんだ」

「う、まあ、結果オーライ、という事で・・・」


 ヤオはため息をつく。


「これからも宜しくお願いしますね!ヤオ師匠!」


 この人の弟子で良かった。

 蛍は満面の笑みを向ける。

ここまで読んでいただき有り難うございます。

評価とかしていただければやる気とか出ます。


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