第36話 明日のために その③
◇蛍視点。
「ガウーガ?(さあいいですか行きますよ?)」
「どっからでもかかって来なさい!」
ミミの挑発に蛍が応える。
ヤオはそれを見て、
「お前、ミミの言葉が分かるのか?獣人語だぞ?ハイドラならわかるが」
私はきょとん、として。
「ええ。わかります。魔物の言葉もわかりますよ?これが普通じゃないんですか?」
「普通は分からん」
ヤオは思案気になる。
ミミが蛍に近づく。
「ガウーガウ!(隙ありですよ!勝負は既に始まっているのです!)」
蛍の視界からミミの姿が消える。蛍は辺りを見回すがミミがいない。
「ガウ(ここですよ)」
ミミが蛍の背後から胴に手をまわし、
――バックドロップする。
私は背後の地面に叩きつけられた。
「ぐえ」
潰れたカエルのような声が漏れる。
「ガウ、ガウ!(さあ立ちなさい!訓練はこれからですよ!)」
「ちょ、ちょっと待って」
「ガウガ!(敵は待ってはくれません!)」
ミミのラッシュが蛍のガードごと後退させる。
「く、ううう」
蛍がやけくそでエクスカリハーを振るう。
「ガウーガガ!(そんな破れかぶれでは当たりません!もっと頭を使うのです!)」
「くっそお!」
私は魔力の球を地面にぶつける。土煙が舞い上がる!
「これなら!」
蛍のエクスカリハーがミミをかすめる。
「ガウ!(悪くないです!)」
ヤオはそんな様子をしばらく見て声を掛けてくる。
「どうだミミ?蛍はものに成りそうか?」
「ガウー(筋は良いのです)」
「師匠!有り難うございます!」
ヤオは腰を上げる。
「じゃあ俺が相手をしてやろうか」
「お願いします!」
ヤオはストレージバッグから神剣アマノムラクモダイコンを取り出す。
私はそれを見て、
「え?ダイコン?ヤオ師匠は野菜で戦うんですか?」
「八百屋だからな」
そして二人は対峙する。
「どうした?打ち込んで来いよ」
「ダイコンごと真っ二つになっても知りませんからね!」
私はエクスカリハーを打ち下ろす!
ヤオはアマノムラクモダイコンを下から跳ね上げる。
キンッ
甲高い音と共にエクスカリハーが真っ二つに折れた。
「・・・え?」
私は唖然とする。聖剣が真っ二つに折れたのだ。
「えええ?」
◇ ◇
「わああああ!私の聖剣があああああ!」
「悪かったって。やっぱこの剣パチモンだったか」
そこにハイドラが通りかかる。
「パチモンじゃ無いわよ」
ハイドラは折れた聖剣を合わせて布で巻き付ける。
「魔剣、聖剣以上の剣には自己修復力があるものが在るの。これもそうよ」
「ハイドラ様あ!有り難うございますううう!」
「良かったな治るんだって」
私はヤオをキッ、と睨む。
「それにしても何で私の剣折れたんだろう?」
「それはヤオの剣が聖剣以上の神剣だからよ」
蛍は首をかしげる。
「神剣?剣は聖剣が最強じゃないんですか?」
「違うわ。神の扱う剣、神剣が最上位よ」
ヤオは頷く。
「どおりでよく切れるはずだ」
私は理解が追い付かなかった。
ここまで読んでいただき有り難うございます。
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