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八百屋ファンタジー  作者: あらうさ(´Å`)
第四章 魔王討伐編
36/40

第36話 明日のために その③

ほたる視点。


「ガウーガ?(さあいいですか行きますよ?)」

「どっからでもかかって来なさい!」


 ミミの挑発に蛍が応える。

 ヤオはそれを見て、


「お前、ミミの言葉が分かるのか?獣人語だぞ?ハイドラならわかるが」


 私はきょとん、として。


「ええ。わかります。魔物の言葉もわかりますよ?これが普通じゃないんですか?」

「普通は分からん」


 ヤオは思案気になる。

 ミミが蛍に近づく。


「ガウーガウ!(隙ありですよ!勝負は既に始まっているのです!)」


 蛍の視界からミミの姿が消える。蛍は辺りを見回すがミミがいない。


「ガウ(ここですよ)」


 ミミが蛍の背後から胴に手をまわし、

――バックドロップする。


 私は背後の地面に叩きつけられた。


「ぐえ」


 潰れたカエルのような声が漏れる。


「ガウ、ガウ!(さあ立ちなさい!訓練はこれからですよ!)」

「ちょ、ちょっと待って」

「ガウガ!(敵は待ってはくれません!)」


 ミミのラッシュが蛍のガードごと後退させる。


「く、ううう」


 蛍がやけくそでエクスカリハーを振るう。


「ガウーガガ!(そんな破れかぶれでは当たりません!もっと頭を使うのです!)」

「くっそお!」


 私は魔力の球を地面にぶつける。土煙が舞い上がる!


「これなら!」


 蛍のエクスカリハーがミミをかすめる。


「ガウ!(悪くないです!)」


 ヤオはそんな様子をしばらく見て声を掛けてくる。


「どうだミミ?蛍はものに成りそうか?」

「ガウー(筋は良いのです)」

「師匠!有り難うございます!」


 ヤオは腰を上げる。


「じゃあ俺が相手をしてやろうか」

「お願いします!」


 ヤオはストレージバッグから神剣アマノムラクモダイコンを取り出す。

 私はそれを見て、


「え?ダイコン?ヤオ師匠は野菜で戦うんですか?」

「八百屋だからな」


 そして二人は対峙する。


「どうした?打ち込んで来いよ」

「ダイコンごと真っ二つになっても知りませんからね!」


 私はエクスカリハーを打ち下ろす!

 ヤオはアマノムラクモダイコンを下から跳ね上げる。


 キンッ


 甲高かんだかい音と共にエクスカリハーが真っ二つに折れた。


「・・・え?」


 私は唖然とする。聖剣が真っ二つに折れたのだ。


「えええ?」


 ◇ ◇


「わああああ!私の聖剣があああああ!」

「悪かったって。やっぱこの剣パチモンだったか」


 そこにハイドラが通りかかる。


「パチモンじゃ無いわよ」


 ハイドラは折れた聖剣を合わせて布で巻き付ける。


「魔剣、聖剣以上の剣には自己修復力があるものが在るの。これもそうよ」

「ハイドラ様あ!有り難うございますううう!」

「良かったな治るんだって」


 私はヤオをキッ、と睨む。


「それにしても何で私の剣折れたんだろう?」

「それはヤオの剣が聖剣以上の神剣だからよ」


 蛍は首をかしげる。


「神剣?剣は聖剣が最強じゃないんですか?」

「違うわ。神の扱う剣、神剣が最上位よ」


 ヤオは頷く。


「どおりでよく切れるはずだ」


 私は理解が追い付かなかった。

ここまで読んでいただき有り難うございます。

評価とかしていただければやる気とか出ます。


※ブックマーク有り難う御座います!


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