第33話 ポンコツ〇〇登場
俺とハイドラとミミは屋敷でテーブルをはさんで向かい合う。
「魔王軍との決戦は半年後に決まったよ」
「そう。それまでに準備を整えなきゃならないわね」
「ガウガウー(半年持たなかったら人間勢力の負けなのです」
ヤオが頷く。
「流石に今度はそう簡単にはいかないだろう。人間勢力最大の帝国に冒険ギルドの総力、そして12賢者も参戦する事になったからな」
「ガウ?(12賢者?)」
ハイドラが指を立てる。
「人間勢力最高の魔法使い達よ。普段は腰が重いけど魔王軍最強の超竜軍団が出てきて国を滅ぼしちゃあね。動かざるを得ないんでしょ」
俺は腕を組み、
「あとは俺たちの問題だ。転生野菜の土の上澄みを掬って他の畑にばら撒く。次に赤い土が馴染むまで待つ。これで今まで以上のスピードで装備化野菜が出来る」
ハイドラは目を細めて、
「可能な限り広範囲で、かつ高生産できなきゃね」
「そうだな。人員はヒメコ女王が用意してくれたし何とかなるだろ」
ぐう~っ
気の抜けた音が屋敷に響く。
ヤオとハイドラは音源を見る。
ミミが真っ赤な顔をしてお腹に手を当て、反対の手を上げる。
「もう昼食の時間か。何か作るよ」
ヤオは腰を上げる。
その時。
「たのもーっ」
玄関から声がする。
「誰だ?」
俺は玄関に向かう。
そこには。
「私は勇者をやっている蛍という者です!ヤオさんは貴方ですか?」
勇者を名乗る緑髪の女の子がいた。
◇ ◇
「美味しい!まさかこの世界ですき焼きが食べれるなんて!」
追い返そうかとも思ったが勇者の肩書が気になったので昼飯を随伴させることにした。
この世界、という言い方が気になったがそれよりもまず聞いた。
「勇者が俺に何の用だ?」
「ヤオさん、八岐大蛇を倒したんですってね!その強さを見込んでお手合わせを願いに来ました」
装備化野菜の方じゃないのか。情報が漏れたのかと思った。
「いいけど。俺、あまり強くないぞ」
「いいんです!実力が知りたいだけですから!」
ヤオと蛍は食事を済ませ、庭に出る。
お互いに練習用の木剣を持って。
「準備はいいですか?行きますよ?」
「ああいいよ」
勇者は強く足を踏み込んで――
足を滑らせ、ずっこけた。
「・・・」
ヤオが何か声を掛けようと近づいた時、蛍の足払いがヤオの足を狙う。
しかしヤオは真上に飛んで勇者の頭を木剣で叩く。
ポカリ
「痛っ」
・・・。
「こいつ弱いぞ」
ヤオの本音が少女の胸を貫く。
「ちょ!ちょっと待ってください!まだ!まだ私は本気を出していません!」
蛍は鞘から剣を引き抜く。
「これぞ勇者の証、聖剣エクスカリハー!」
ヤオは首を捻る。
「エクスカリハー?俺の知ってる剣と呼び名が少し違うな。名前からしてパチモンじゃないのか?」
「パチモンじゃありません!聖剣の切れ味、とくと味わってください!」
少女は上段切りを仕掛けてくる。ヤオはそれを横に回避し木剣で胴を薙ぐ。
「うげふ」
駄目だコイツ。ヤオは心の底からそう思った。
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