第3話 異世界料理
六日目、朝
俺は今日も畑に向かう。
異世界野菜は既に葉が青々としていた。異様な速さだ。赤みを帯びた土もじわじわとその領域を増やしていた。
どうも期待と不安を煽る状況だ。
ヤオは夜にガク先生の家に行った。
「こんばんわ、ガク先生」
「ようヤオ。預かった土の検査結果は出てるぜ」
「どうでしたか?」
「ここで話すのもなんだ、まあ上がって聞け」
「おじゃまします」
ガクはコーヒーを淹れ、ヤオの前に置く。
「結果だがな、やたら栄養の豊富な土だ、とだけわかった」
「毒ではないのですか?赤い土ですよ?」
ガクは苦笑し、
「土が赤みを帯びてるのはおそらく鉄分が豊富なせいだろう、この土が大量にあればこの国の食糧事情が立て直せるかもしれんが、まあ土は増やせないしな」
その土、増えています。
とりあえず毒成分でないと知ってヤオはほっとする。
「じゃあこの土で野菜を育てても大丈夫なんですね?」
「ああ、いい野菜が出来たら俺にも食わせてくれ」
ヤオは返事をして笑顔でその場を後にした。
十四日目
「嘘だろ」
俺の前には信じられない光景が広がっていた。
異世界野菜が収穫期を迎えたのだ。
「まだ二週間しか経っていないんだぞ・・・」
トマトは赤い実をつけ、ハクサイは葉を茂らせ、根野菜は実を付けている。
ヤオは大喜びで転生野菜を収穫し、市場へ持っていった、
ところで気が付いた。
「これ、どうやって食べるの?」
・・・。
客に問われ沈黙する俺。
「トマト?はそのままでも食べれます。あとは塩ゆで・・・かなぁ?」
「なんで疑問形なんだよ」
とりあえず転生野菜を店先から撤収する俺。
その日の夜。
「料理法、料理法・・・」
ヤオは辞典をめくっていた。
「あった」
辞典の中盤くらいに調理法が載っていた。
「トマトはサラダとスープ(タマネギ入り)が作れるか。これなら俺でも出来そうだな。ダシは鶏ガラ・・・なるほど」
俺は辞典を読み進めていく。
「ショウユ?ミソ?これは調味料なのか?聞いたことないな。砂糖は甘い、塩はしょっぱい、これらはわかるんだが」
ヤオはトマトスープを作る準備をする。
トマトは縦4等分のくし形に切る。玉ねぎは縦に1cmのくし形に切る。薄い肉片は幅1cmに切る。
鍋に油大さじ1/2を中火で熱し、トマトと玉ねぎを炒める。玉ねぎが透き通ってきたら、水2カップを注ぎ、鶏ガラのダシを加えて煮溶かす。薄い肉片を加え、アクを丁寧に取りながら5分ほど煮る。
塩、こうしょう少々で調味し、火を止める。
出来た!
ヤオはさっそく味見する。
美味い!
「これは売れる!そうだ、レシピもたくさん作ろう!レシピと一緒に売れば、かなり売れるかも!」
俺は明日の準備に取り組んだ。
ここまで読んでいただき有り難うございます。
評価とかしていただければやる気とか出ます。