第29話 海魔
ヤオ達は準備をして船に乗り込む。
船は中規模の船体で結構頑丈に作られていた。小舟に乗せて「ほら戦え」という展開じゃなくてヤオ達は少しほっ、としたが安心はできない。
「海魔って奴はどんな敵なんだ?」
俺は護衛兼見張りの男に聞く。
「この船と同じ大きさで触手をたくさん持ってる奴だ。天候を操るって話だし油断してるとすぐ海に引き込まれるぞ」
「そうか。気を付けないとな」
ヤオは頷く。
船はしばらくして沖に出る。天候もだんだん曇ってきて雨が降り出した。
「雨か。火薬系の野菜が使えないのは痛いな」
ハイドラとミミはヤオの隣に立ち、
「そうね。私のブレスも薄まるし肉弾戦になるわね」
「ガウガウガー!(私の雷系の魔装具なら役に立つのです!)」
「だな。ミミを中心に戦術を立てるか」
ざばぁっ!
突然、無数の触手が海から現れる。
「来たか!」
「ガウー!」
触手は次々と船に絡みつく。
護衛兼見張りの男が、
「ほっとくと船が沈められるぞ!触手を全部切り落とすんだ!」
他の船夫に声を掛ける。
ヤオ達も触手に攻撃する。
「えいっ!」
ハイドラが変化した爪で触手を切り裂き、
「やあっ!」
ヤオがダイコンソードを振るい、
「ガウー!」
ミミが魔装具の電撃を叩きこむ。
初めのうちはヤオ達が押していた。
が、時間が経つと共にだんだん押され始める。
「本体はどこだ!?」
ヤオが護衛に聞く。
「船底にへばり付いてやがる!」
「くそ!海の中じゃ手の出しようがない!」
触手は一本、また一本ミシミシと音を立てながら甲板を覆ってゆく。
「何か手はないか?何か・・・」
そしてヤオは思い出す。海で出会った少女の事を。
『私はミーウ。この『海の雫』をお持ち帰りください。海で使うと私を呼べます。海で何かあった時にどうぞ』
ヤオはバックから『海の雫』を取り出し、天に掲げる。
「来いっ!ミーウ!」
カッ
眩い光と共に海柱が立つ。そこから一人の人魚が現れた。
「お呼びですか?ヤオ様」
「来てくれたばっかりで済まないが、この海魔を何とか出来ないか?」
ミーウはにっこり笑って、
「お安い御用です」
強烈な潮の流れが起き、海魔が船底から引きはがされ海上に姿を現す。
ヤオはストレージバックから光るダイコンを取り出し、叫ぶ。
「神剣、アマノムラクモダイコン!」
ヤオは船から海魔の背に飛び乗り、ダイコンを突き刺す!
海魔の体は大爆発を起こし、体がバラバラに千切れ、海の藻屑となった。
ヤオは船に引き上げてもらう。
ミミはヤオの元に駆けつけ、
「使い方、覚えていたんですか?ご主人様!」
ヤオは頭を掻く。
「いや、何となくこうすれば、って・・・」
護衛兼見張りの男がヤオの肩を叩く。
「本当に海魔を倒しやがった!大した漢だぜお前は!」
ヤオは船夫達に胴上げされる。
その中でハイドラがただ一人、光るダイコンを見つめるのだった。
ここまで読んでいただき有り難うございます。
評価とかしていただければやる気とか出ます。
※ブックマーク有り難うございました!
ログインするのが面倒くさいぜ!という方は
↓の右側にある「小説家になろう 勝手にランキング」
のリンクをクリックして下さい。




