第23話 第3の我が家
都近郊の町
ヤオ達は不動産を探しに来ていた。
「で、予算はいくらあるの?」
ハイドラが聞いてくる。
「小さな町が一つ買えるくらい」
ブッ
ハイドラが噴き出す。
「なんでそんなに持ってるのよ!」
「ベジタル王から貰った報奨金がかなりあるんだ。期待してたんだろうなあ」
ハイドラは半眼で、
「そういえば畑向こうに残してきたのよね?悪用はされないの?」
ヤオは野菜転生辞典を取り出す。
「この辞典の最後のページに書いてあるんだ。『野菜転生の効果はこの本を中心にある程度の範囲に限る』ってね。装備化野菜もだ」
「それはイサヤ領主と王様はご愁傷様ね」
「イサヤ領主は大丈夫だよ。頭良いからのし上がれるよ」
俺は領主との別れを思い出す。
もうあの領主とはケリを付けてきた。
それよりも今は住処だ。色々な物件があって目移りする。
「いろんな物件があるわね。畑に近い物件がいいんじゃないかしら?」
「ガウー(部屋がいっぱい有るといいのです)」
「炊事場が広いのも外せないな」
ヤオ達は物件を見ていく。
そして一つの物件に決めた。
「この物件なら要件を満たせるな」
「いいんじゃない?」
「ガウ」
「この物件を見たいのですけど」
「ここですね。ご案内します」
ヤオ達は不動産屋さんの後をついて行く」
「ここです」
紹介されたのは中規模の和風の屋敷だった。
「前の住処と違うけどこれはこれで良いわね。庭も広いし」
「ガウガウ(大雑把だけど掃除もされてるのです)」
「ここなら掃除すればすぐに住めるな。炊事場が広いのもいいし」
「お気に召したでしょうか」
ヤオ達は頷く。
「「「ここにします」ガウ」」
その後手続きを済まし費用を支払って屋敷の掃除をする。
「へえ戸が紙と木で出来てるのか」
「ガウガー(ふすまって言うそうですよ)」
「この『縁側』っていうのも良いわね。日向ぼっことか気持ち良さそう」
屋敷の各所をチェックしながら掃除を進めていく。
そしてあらかた掃除を終え、
「良し!じゃあ買い物に行ってお待ちかねの和風料理を作るか!」
「私も手伝うわ」
「ガウー!」
◇
そして料理が始まった。
しらたきは水気を切っておく。
(1)春菊は根元を切り落とし、5cm幅に切る。しいたけは軸を切り落とし、カサに切り込みを入れる。
(2)長ねぎは根元を切り落とし、1cm幅の斜め切りにする。
(3)焼き豆腐は一口大に切る。しらたきは長さ10cmに切る。
(4)鍋を中火に熱し、肉脂を入れて溶かし、(2)を入れて焼き色が付いたら肩ロースを入れて焼く。
(5)肩ロースの色が変わってきたら割り下(料理酒、みりん、しょうゆ、ざらめ)の材料を全て入れ、弱火にします。
(6)ざらめが溶けたら(1)(3)を入れて15分程煮込み、全体に火が通ったら火から下ろす。
(7)溶き卵を添えて完成!
「出来た!『すき焼き』!」
「『コメ』も炊けたわ!」
「おおお、これが夢にまで見たすき焼き!」
「コメもふっくらして美味しそう!」
「ガウガウ!(早く食べるのです!)」
「「「いっただっきまーす!」」」
「う、美味い!なんだこれ!」
「肉に卵とダシが染み込んで・・・美味しー!」
「ガウガウー!」
「ご飯と鍋の相性が最高!」
「ご飯に具を乗せるとご飯に汁がしみて・・・もうたまんない!」
「ガウガウガウー!」
その日はもうこれ以上無いというくらい舌鼓をうったのだった。
ここまで読んでいただき有り難うございます。
評価とかしていただければやる気とか出ます。




