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八百屋ファンタジー  作者: あらうさ(´Å`)
第三章 南大陸編
23/40

第23話 第3の我が家

 都近郊の町


 ヤオ達は不動産を探しに来ていた。


「で、予算はいくらあるの?」


 ハイドラが聞いてくる。


「小さな町が一つ買えるくらい」


 ブッ

 ハイドラが噴き出す。


「なんでそんなに持ってるのよ!」

「ベジタル王から貰った報奨金がかなりあるんだ。期待してたんだろうなあ」


 ハイドラは半眼で、


「そういえば畑向こうに残してきたのよね?悪用はされないの?」


 ヤオは野菜転生辞典を取り出す。


「この辞典の最後のページに書いてあるんだ。『野菜転生の効果はこの本を中心にある程度の範囲に限る』ってね。装備化野菜もだ」

「それはイサヤ領主と王様はご愁傷様ね」


「イサヤ領主は大丈夫だよ。頭良いからのし上がれるよ」


 俺は領主との別れを思い出す。

 もうあの領主とはケリを付けてきた。


 それよりも今は住処だ。色々な物件があって目移りする。


「いろんな物件があるわね。畑に近い物件がいいんじゃないかしら?」

「ガウー(部屋がいっぱい有るといいのです)」

「炊事場が広いのも外せないな」


 ヤオ達は物件を見ていく。


 そして一つの物件に決めた。


「この物件なら要件を満たせるな」

「いいんじゃない?」

「ガウ」


「この物件を見たいのですけど」

「ここですね。ご案内します」


 ヤオ達は不動産屋さんの後をついて行く」


「ここです」


 紹介されたのは中規模の和風の屋敷だった。


「前の住処と違うけどこれはこれで良いわね。庭も広いし」

「ガウガウ(大雑把だけど掃除もされてるのです)」

「ここなら掃除すればすぐに住めるな。炊事場が広いのもいいし」


「お気に召したでしょうか」


 ヤオ達は頷く。


「「「ここにします」ガウ」」


 その後手続きを済まし費用を支払って屋敷の掃除をする。


「へえ戸が紙と木で出来てるのか」

「ガウガー(ふすまって言うそうですよ)」

「この『縁側』っていうのも良いわね。日向ぼっことか気持ち良さそう」


 屋敷の各所をチェックしながら掃除を進めていく。

 そしてあらかた掃除を終え、


「良し!じゃあ買い物に行ってお待ちかねの和風料理を作るか!」

「私も手伝うわ」

「ガウー!」


 ◇


 そして料理が始まった。


 しらたきは水気を切っておく。

(1)春菊は根元を切り落とし、5cm幅に切る。しいたけは軸を切り落とし、カサに切り込みを入れる。

(2)長ねぎは根元を切り落とし、1cm幅の斜め切りにする。

(3)焼き豆腐は一口大に切る。しらたきは長さ10cmに切る。

(4)鍋を中火に熱し、肉脂を入れて溶かし、(2)を入れて焼き色が付いたら肩ロースを入れて焼く。

(5)肩ロースの色が変わってきたら割り下(料理酒、みりん、しょうゆ、ざらめ)の材料を全て入れ、弱火にします。

(6)ざらめが溶けたら(1)(3)を入れて15分程煮込み、全体に火が通ったら火から下ろす。

(7)溶き卵を添えて完成!


「出来た!『すき焼き』!」

「『コメ』も炊けたわ!」


「おおお、これが夢にまで見たすき焼き!」

「コメもふっくらして美味しそう!」

「ガウガウ!(早く食べるのです!)」


「「「いっただっきまーす!」」」


「う、美味い!なんだこれ!」

「肉に卵とダシが染み込んで・・・美味しー!」

「ガウガウー!」


「ご飯と鍋の相性が最高!」

「ご飯に具を乗せるとご飯に汁がしみて・・・もうたまんない!」

「ガウガウガウー!」


 その日はもうこれ以上無いというくらい舌鼓をうったのだった。

ここまで読んでいただき有り難うございます。

評価とかしていただければやる気とか出ます。

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