第22話 ヤマタイ国
ヤマタイ国・ハナノ都
「すっごい人出ね」
「この国の首都だからな」
「ガガウー(目がくらくらするのです)」
俺たちは屋台通りを歩く。
「木造の建物が殆んどね」
「逆にレンガ造りは少ないな」
「ガウガウ(手触りすべすべ)」
ハイドラは屋根を指さす。
「あの屋根の上に乗ってるのはレンガかしら?」
「ガウガー(瓦っていうみたいですよ)」
「ミミ、意外と物知りだな」
ミミは手にしていたガイドブックを広げる。
「ガウー(これに書いてあるのです)」
「へえ。その冊子役に立つな」
ハイドラが通行の邪魔にならない所に立ち止まる。
「で、これからどうするの?」
「まず宿を探そう。そこに荷物を置いたら今度は役所を探す」
「ガウウ(宿屋ならこれに載ってるのです)」
宿屋
「ようこそハナノ都にいらっしゃいました。3名様ですね。ごゆっくりどうぞ」
記帳を済ませ2階に上がる。
「わあ。変な床」
「ガウ(畳って言うらしいですよ)」
「だから入り口で靴を脱がされたのか」
ハイドラは窓から外を見る。
「大通りに面してるから賑やかね」
「ガウー(夜景が綺麗なのです)」
「ここに来てよかったな。しばらく休んだら役所を探そう」
役所
「あのー農地を購入して農業を始めるのと、あと出来た野菜を販売する許可が欲しいのですが」
「新規農業従事希望者ですね。農業窓口があるのでそちらにどうぞ」
◇
「よう、お前さんかい?新しく八百屋になりたいって奴は」
「はい。宜しくお願いします」
「じゃあ、土地の権利関係、税金関係の法律、屋台を出すときの許可なんかを一通り教えてやる」
ヤオはしばらく職員にレクチャーを受け、メモを取りながら手続きを済ませた。
「結構かかったわね」
「でもこれで準備は整った」
「今日はもう宿で寝る?」
「いや、ヤマタイ国に来た一番の理由を済ませないと」
「ガウ?」
屋台市場
「あ、あった」
「?」
「これが伝説の『ミソ』『ショウユ』!!」
「なにそれ」
「調味料だよ!伝説の!」
「調味料の伝説?聞いたことないわね」
「ガウ(はい)」
「この『異世界野菜転生辞典』にも載ってるけど今まで手に入らなかった調味料なんだ!」
「へえ」
俺は拳を掲げ、宣言する。
「これがあれば美味しい料理をたくさん作れるぞ!」
「ガウー!?(本当に!?)」
しかしヤオは頭を抱える。
「だけど今度は調理場が無い!路上で作るわけにはいかないし」
「ガウ?」
「どこか家を買おう!広いキッチンの付いてるやつ!」
「都で家を買うのは高いんじゃないかしら?」
「近郊の街を探すしかないな。農地付きの家を」
「じゃあ明日は家探しね」
こうして都での一日目が終わった。
ここまで読んでいただき有り難うございます。
評価とかしていただければやる気とか出ます。




