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八百屋ファンタジー  作者: あらうさ(´Å`)
第三章 南大陸編
20/40

第20話 海の少女

 大陸間・海上


 ヤオの乗った大型船は順調に航海を続けていた。

 天候もよく波も穏やか。そんな数日を船は進んでいた。


 俺は甲板に出ると、毎日の日課になってるように外の散歩に出る。

 船の舳先へさきに移動すると、そこには少女が座っていた。


 水色の髪に水色の瞳の可愛い女の子だ。

 ヤオは軽く挨拶する。


「やあ、こんにちは。いい天気ですね」


 少女はよく分からない返答をする。


「私が見えるの?」

「・・・え?見えるけど」


 少女は思案顔になり、


「お願いがあります。聞いてくれませんか?」


 え?いきなりお願い?最近の子は積極的だなあ。とか適当なことを考えていると、


「あら。あなた神族?」


 後ろから声が掛かってきた。

 俺は振り向くとそこにはハイドラとミミが立っていた。

 ヤオはハイドラに聞く。


「神族?」

「そうよ。海神族。珍しいわね、人前に現れるなんて」


 少女は警戒したように、


「竜族がなんでこんな所に・・・」

「ただの旅路よ。あなたこそなんでこんな所にいるの?」


「海は海神族の領域よ。どこの海にいようと私の勝手だわ」

「それもそうね。じゃ、私は退散するわ。ミミも来なさい」

「ガウ~」


 ハイドラはくるりと振り返り、


「ヤオに何かしたら私が許さないわよ」


 釘を刺す。

 少女はねめつける様にハイドラを睨む。

 ハイドラは軽く受け流すと甲板を降りていく。

 俺は頭を掻きながら、


「あー、なんか悪かったな」

「いえ、貴方のせいじゃありませんから」


 少女ははにかんだ笑顔を見せてくる。

 そして唐突にお願いしてくる。


「あ、あの。改めてお願いがあります。聞いてもらえますか?」


 ◇


 数分後・海底


「ほんとに苦しくない」


 ヤオは海底で呼吸をしていた。


 海に入る前に少女から『空気サンゴの卵』を飲んでいたからだ。


 俺は少女から頼みごとをされた。少女は一族の宝物『海神の髪飾り』を無くしてしまったらしい。見つけるまで一族の住処には帰れないそうだ。そこで俺に白羽の矢が立った。

 海神を見れる特別な『目』があれば無くした宝物も見つけられるかもしれないと思ったそうだ。

 しかし、


「広すぎるだろ」


 海は広大だ。

 そこを探すとなると並大抵の根気では務まらない。岩盤に海洋植物、サンゴの間もくまなく探す。

 だが探し物は見つからない。


「おかしいですね。このルートの何処かにあると思うんですが」


 少女は首を捻る。


 俺は一息入れる。しばらく何も考えずにボーっと海の中を眺める。海の中はとても綺麗だ。色とりどりの魚たちが俺の目を楽しませてくれる。

 そこで気が付いた。


 大型魚類、サメ種の一匹のお腹が光り輝いているのだ。


 俺はそれを少女に伝える。


「あ!あれです!『海神の髪飾り』で間違いありません。道理で海底を探しても見つからないわけです!」


「見つかって良かった。で、どうやってアレ取り出すんだ?」

「えーと・・・」


 少女は汗をかく。

 俺は嫌な予感がした。


「その、私がサメさんの口を固定するので、その間にヤオさんが胃袋の中から取ってきて貰えると・・・」


 嫌な予感は的中した。


「さ、さあ、私がサメさんの口をつっかえ棒で固定しましたから口から胃に入ってください!」

「こうなりゃ自棄やけじゃあ!」


 俺はサメの口に飛び込む。粘液が体中に纏わりつく。超気持ち悪い!


「あ、駄目ですサメさん!つっかえ棒を取ったらヤオさんが出られなくなってしまいます!」

「ほんと勘弁しろよお前!」


 ヤオは苦労しながら何とか腹の中から宝物を取り出した。


「ほんとに有り難うございました!何とお礼をすれば・・・」


 少女がにこやかにお礼をお言ってくる。

 ヤオは疲れた様子で、


「貸しにしといてくれ。俺はもう帰る」


 そう言うのがやっとだった。


 そしてサメの背中に乗って船まで送ってもらう。ハイドラが迎えに出て来たので甲板まで飛んでもらう。

 そこで初めて少女は名前を口にした。


「私はミーウ。この『海の雫』をお持ち帰りください。海で使うと私を呼べます。海で何かあった時にどうぞ」


 俺は手を振って彼女の姿が見えなくなるまで見送った。


 こうして海上(海底?)での出来事は幕を閉じた。

ここまで読んでいただき有り難うございます。

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